伊で開催されるEICMA 2024(11月5〜10日)に、ホンダはワールドプレミアとして「EV Fun Concept(イーヴィー ファン コンセプト)」と、「EV Urban Concept(イーヴィー アーバン コンセプト)」という2機種のコンセプトモデルを公開しました。これらはホンダの、「2030年までに、グローバルで電動モデルを30機種投入」という計画の一環として企画されたモデルです。

スペックは両機種とも未公表ですけど・・・

ホンダは2050年に、関わるすべての製品と企業活動全体を通じてカーボンニュートラルを実現するという目標を掲げています。そして2040年代には全2輪製品のカーボンニュートラル達成、2030年までにグローバルで電動モデル30機種投入・・・というプランも明らかにしています。

これまでのホンダ製2輪EVはビジネスモデルやスクーターなどの、日本でいう原付クラスの製品に限られていましたが、この度公開された「EV Fun Concept」と「EV Urban Concept」の両機種は、その枠より上のクラスの製品として企画されています。

残念ながら両機種ともにスペックは公表されていませんが、ブレーキのサイズ的にはそれなりの高スピードを御することを想定していることがうかがわれます。なおホンダはEV Fun Conceptについては、ICE(内燃機関)搭載車で言うところの「中型排気量帯相当」とリリースには記しています。

画像: 2025年発売予定の、ホンダ初のスポーツモデルの電動二輪車である「EV Fun Concept」。今回公開された2機種は、バッテリーシェアリングサービス利用を想定した交換式の「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパックイー)」ではなく、車体固定式バッテリーを採用する初のホンダ製2輪EVでもあります。 global.honda

2025年発売予定の、ホンダ初のスポーツモデルの電動二輪車である「EV Fun Concept」。今回公開された2機種は、バッテリーシェアリングサービス利用を想定した交換式の「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパックイー)」ではなく、車体固定式バッテリーを採用する初のホンダ製2輪EVでもあります。

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EV Fun Conceptはサーフェス&シームレスな、ICE搭載車ではバイクデザインの「顔」ともいえる燃料タンクが不要なことを、デザインの自由度を高める利点として活かしたようなスタイリングになっています。一方、燃料タンクに代わるエネルギー貯蔵装備であるバッテリーについては、「機能部品」を見せるという考え方からカバーの類で覆うことをしていません。

エンジン、駆動系、燃料系などの配置の自由度が少ないICE搭載車に対し、2輪EVは比較的バッテリー、モーター、電装系などの配置の自由度が高いです。ただ、2輪の運動特性を考慮すると、なるべく重たいものは車体中心寄りに集めたいというのはICE搭載車も2輪EVも変わりません。

EV Fun ConceptはホンダがFIM E-エクスプローラー ワールド カップなどに投入している電動モトクロッサーの「CR ELECTRIC PROTO」や、全日本トライアル選手権に使用した電動トライアル車の「RTL ELECTRIC」と同じように、前側にバッテリー、後ろ側にモーターを配置するレイアウトを採用しています。

画像: EV Fun Conceptのバッテリー関連の技術は、普及が先行する4輪EVの技術が応用されています。バッテリーは4輪EVの規格の急速充電器CCS2に対応。なお航続距離は100km以上を想定として開発しているとのことですが、重量の問題から4輪EVほど大きなバッテリーを搭載できない2輪EVとしては、その辺りが現時点では妥当な設定となるのでしょう。 global.honda

EV Fun Conceptのバッテリー関連の技術は、普及が先行する4輪EVの技術が応用されています。バッテリーは4輪EVの規格の急速充電器CCS2に対応。なお航続距離は100km以上を想定として開発しているとのことですが、重量の問題から4輪EVほど大きなバッテリーを搭載できない2輪EVとしては、その辺りが現時点では妥当な設定となるのでしょう。

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現在のバッテリー技術的には、重量配分やハンドリングを考慮するとこの配置が電動のスポーツモデルにはベスト、とホンダは考えているのでしょう。全固体電池など、より軽量な動力用バッテリーが商用化された暁には異なる配置が模索されていくことになるでしょうが、まだ「定番」が確立されていない2輪EVデザインの発展をこれから見ていくことができるのは、現代を生きる私たちの楽しみのひとつと言えるでしょう。

EV Fun Conceptのフロントブレーキ操作は右手レバー、リアブレーキは右足レバーとなっています。左手と左足の側にはレバー類がないので、変速操作不要のオートマチックであることがわかります。他メーカーの2輪EVでは、電動のメリットとして両手で前後ブレーキを「現代のスクーター的」に操作する方法を採用するモデルが多く存在します。

画像: EV Fun Conceptのデザインスケッチ画。変速/ブレーキ操作に必要なレバーや補器類が不要になるため、両手ブレーキシステムの2輪EVはステップまわりのデザイン、配置の自由度が飛躍的にアップしますが、ホンダの流儀? としては右足ブレーキレバーはマストアイテムなのかもしれません? global.honda

EV Fun Conceptのデザインスケッチ画。変速/ブレーキ操作に必要なレバーや補器類が不要になるため、両手ブレーキシステムの2輪EVはステップまわりのデザイン、配置の自由度が飛躍的にアップしますが、ホンダの流儀? としては右足ブレーキレバーはマストアイテムなのかもしれません?

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足よりも器用な手は微調整が効いたブレーキ操作ができること、そしてブレーキや変速操作から両足を解放することで、スポーツライディングで肝要なステップワークに専念できることが、両手ブレーキ操作システムの利点です。多くのユーザーから要望があるにも関わらず、ホンダはオートマチックのDCTモデルに左手ブレーキレバーを採用しません(除くX-ADV)。

なにゆえに右手、右足でのブレーキ操作を墨守するのかは不明ですが、初の2輪EVのスポーツモデルであるEV Fun Conceptにもこのトラディションが守られているのを見ると、これもひとつのホンダのこだわり・・・なのでしょうね。

いわゆる、電動版ビクスクといえるEV Urban Concept

もう1機種の方・・・EV Urban Conceptは都市型電動モビリティとして企画されたモデルです。ジャンルとしては既に市場投入済みのBMW CE 04のような、電動のビッグスクーター(俗称ビクスク)のモデルです。

EV Urban Conceptのバッテリーはスクーターデザインの文法・・・機械っぽさを醸し出す機能部品はなるべくカバー類で隠すのが定石、を守って、車体中央のバッテリーは覆い隠されています。おそらくEV Fun Concept同様、EV Urban Conceptのバッテリーも4輪EVの技術を応用したものが採用されていると思われます。

画像: リム オン ディスクのフロントブレーキが印象的なEV Urban Concept。モーターは片持ち式スイングアームのピボット部にあり、サスペンションのストロークが変化しても、ファイナルドライブのベルトの遊びが変化しない構造になっているようです。ピボット同軸+ベルトドライブの組み合わせは、電動メーカーとして古参の部類に入る米ゼロ モーターサイクルズの製品にも好んで採用される方式です。 global.honda

リム オン ディスクのフロントブレーキが印象的なEV Urban Concept。モーターは片持ち式スイングアームのピボット部にあり、サスペンションのストロークが変化しても、ファイナルドライブのベルトの遊びが変化しない構造になっているようです。ピボット同軸+ベルトドライブの組み合わせは、電動メーカーとして古参の部類に入る米ゼロ モーターサイクルズの製品にも好んで採用される方式です。

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EV Urban Conceptは外観から判断する限りでは、近代スクーターの定番装備といえるシート下トランク収納機能を有しているように思います。交換式のHonda Mobile Power Pack e:を使う既存のホンダ製原付規格の電動スクーターは、シート下をHonda Mobile Power Pack e:収納場所として使うため、ヘルメットなどをしまうのに便利なトランク収納機能を有していないことが不満点として多くの声が上がっていました。EV Urban Conceptが「有している」のなら、これを歓迎しない人はいないでしょう。

ただ個人の感想です・・・ではありますが、EV Urban ConceptはEV Fun Conceptに比べるとICE搭載車とのスタイリングの差異が少なく、2輪EVであることが伝わりにくい印象があります。これをICE搭載車からの違和感少なく、親しみを持って接しやすいとプラスに評価する人も多いと思いますが・・・。ともあれスクーターのような電動コミューターも、今後は電動技術の発展とともにデザインが変化していくことを、楽しんで見ていくことができるのでしょうね。

画像: 横一文字のシグニチャーライトは、EV Fun Conceptにも採用されている装備です。この特徴的なデザインのライトの光を見て、多くの人がホンダ製2輪EVであることを意識するようにする意図が込められた意匠です。おそらく2030年までに登場するホンダ製電動モデルの多くに、このシグニチャーライトが採用されていくことになるのでしょう。 global.honda

横一文字のシグニチャーライトは、EV Fun Conceptにも採用されている装備です。この特徴的なデザインのライトの光を見て、多くの人がホンダ製2輪EVであることを意識するようにする意図が込められた意匠です。おそらく2030年までに登場するホンダ製電動モデルの多くに、このシグニチャーライトが採用されていくことになるのでしょう。

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EV Urban Conceptについては、EV Fun Conceptに比べてリリース内の情報量が少ないです。自社開発のバッテリーパックを搭載していること、コネクテッド技術を採用していること・・・くらいしか具体的なことは記されていません。また、EV Fun Conceptのように市販予定時期については触れられてはいませんでした。

まずは2025年に、予定どおりEV Fun Conceptが市場に投入されることを期待したいです。ホンダは2024年を電動2輪車のグローバル展開元年、2026年までを市場参入期、そして2026年以降を事業拡大期と位置付けていますので、おそらく今後は計画に沿って、ホンダの新型2輪EV発表のペースはどんどん加速していくことになると予想されます。

画像: - YouTube youtu.be

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