過去の投資家向け情報では、2023年からの販売が予告されていましたが・・・
2022年、KTM、ハスクバーナ、ガスガスなどのブランドを擁するKTMグループことピーラー モビリティは、投資家向けに2月版プレゼンテーション資料を公開しています。そのなかには、結構な割合で同グループの電動化計画についての説明があり、4種類の電動モデルのインフォメーションが公表されていました。
キッズモデルの「E10」、ネイキッドの「E-ピレン」と「E-デューク」の3機種の発売時期は未定。唯一「フリーライド E LV」のみは1万ユーロ以下の価格、そして2023年の発売が予告されていました。しかし周知のとおりSX-E 2として商品化されたE10を除き、KTMグループから公道向けの3モデルが市販されることはありませんでした。
フリーライド Eを10年以上前にデビューさせた実績があるKTMグループですが、公道向け電動バイクの販売に対しては非常に慎重に事を進めているようです。電動車市場は伸長しているとはいえ、まだまだ未成熟な市場ではありますから、戦略が慎重寄りになるのは致し方ないことなのでしょう。
VINコードから登場するモデルの中身を推察すると・・・
アメリカでは、NHTSAにVINコードを提出し、ビークルのアイデンティティの番号・・・すなわちVINを公開して識別できるようにすることがメーカーに求められます。KTMグループが先日提出した2025年のVINコード集を観察すると、そのなかにはKTMのエレクトリック フリーライド(以下E-フリーライド)、そしてハスクバーナのエレクトリック パイオニア(同E-パイオニア)という、2機種の電動バイクの存在が示唆されていました。
VINコードの4、5番目はモデル識別に用いられており、E-フリーライドはそこに「E1」、E-パイオニアは「P1」が割り当てられています。そして7番目にはICE(内燃機関)搭載車の場合、2または4ストロークを示す「2」か「4」が割り当てられていますが、E-フリーライドとE-パイオニアには電動用の「0」が使われています。KTMのVINコードの法則では、排気量レンジを表す12番目のところには「C」を採用。この「C」は電動パワートレインであることを示しています。
E-フリーライドとE-パイオニアはともに、過去の投資家資料に載っているフリーライド E LVを発展させたもので、5.54kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載していることがVINコードの「C」から推察されます。出力については不明ですが、投資家資料の「9kW」が定格出力とすると、最大出力は18kW(約24馬力)くらいになるかもしれません。
一方で、390デュークの車体を使ったE-ピレンとE-デュークは「後回し」になっているみたいですが、電動パワートレインについてはE-フリーライドおよびE-パイオニアと大差ない仕様ですから、先行2機種のリリース後の登場はそんなに先のことではないと予想できます(期待含み?)。
気になるのは、E-フリーライドとE-パイオニアに搭載されることが予想される、交換式バッテリーの仕様です。それは2021年に創設された欧州コンソーシアム、SBMC(スワッパブル バッテリーズ モーターサイクル コンソーシアム)の標準化された製品・・・それともKTMグループ独自規格のものなのでしょうか・・・?
なんにせよ、急遽予定変更して2025年販売の計画がポシャらない限り、今年の秋の欧州ショー開催時期になれば、それらの答えは明らかになることでしょう。暑い夏が終わっての、秋の訪れを楽しみに待ちたいです。