台湾発の、現時点で世界で最も成功している2輪EV用バッテリー交換プラットフォームを生み出したGogoroが、インド、中国に続き、1億1,100万台を保有する東南アジア最大の2輪マーケットを擁するインドネシアに進出しました!

2050年には日本よりも上位の経済大国となる・・・と予想されるインドネシア!!

英国の調査会社であるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)は、2017年2月にリリースした「2050年の世界」というレポートの中で、2050年までに主要経済大国7カ国のうち、6カ国は新興国が占める見込み、という予測を記しています。

2050年までの経済成長の牽引役となるのはE7(振興7カ国)・・・ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、ロシア、トルコであり、そのなかのひとつであるインドネシアは、PPP(購買力平価)ベースのGDPで、2030年には4位の日本に肉薄する5位にまでランクを上げ、2050年には中国、インド、米国に次ぐ4位の座につく・・・とレポートでは予測されています(なお2050年に、日本は8位まで落ちると予測されています)。

「2050年の世界」はCOVID-19パンデミックが起こる前に発表されたレポートであり、世界的なパンデミックがいつ終息するかは未だ先行きが不透明なため、レポートの予測どおりになるかは神のみぞ知る・・・でしょう。しかし、2020年時点で2.735億人の人口を擁し、生産年齢人口(15〜64歳)の総人口に占める割合が上昇している"人口ボーナス期"真っ只中にあるインドネシアが、今後発展することがないと考える人は、おそらく地球上にひとりもいないでしょう。

インドネシアを代表するスタートアップ企業が協力!

2021年11月2日、Gogoroは東南アジア有数のモバイル オンデマンド サービス プラットフォームを提供する「ゴジェック」と、インドネシアの2輪輸送を"電化"するための戦略的パートナーシップを結んだことを発表しました。

インドネシア企業のゴジェックは2010年に設立された新興企業であり、オンライン・バイクタクシー配車サービスからそのビジネスをスタートさせました。2015年からはスマホアプリを活用した、宅配、出前、買い物代行、決済サービスなどをはじめ、順調に事業を拡大させていきました。

2021年5月には、2009年開設の電子商取引プロバイダーである「トコペディア」と統合経営を発表。新会社の「GoToグループ」は、インドネシア最大のモビリティおよびオンデマンドプラットフォームであるゴジェック、インドネシア最大の電子商取引プラットフォームのトコペディア、そして支払いおよび金融サービスのGotoファイナンシャルから構成されています。なおGoToグループはブルームバーグの報道 によるとインドネシアのGDPの2%!! を担っており、インドネシアで最も価値のあるスタートアップ企業と目されています。

画像: 1986年生まれの若きケヴィン・アルウィは、インドネシアで最も成功したスタートアップ企業「ゴジェック」を創業した人物です。合併新会社の「Gotoグループ」は、いわばアマゾン、ウーバー、ペイパルなどを主要インターネットサービスを統合したようなプラットフォームを、世界4位の人口を誇るインドネシア市場で展開しています。 upload.wikimedia.org

1986年生まれの若きケヴィン・アルウィは、インドネシアで最も成功したスタートアップ企業「ゴジェック」を創業した人物です。合併新会社の「Gotoグループ」は、いわばアマゾン、ウーバー、ペイパルなどを主要インターネットサービスを統合したようなプラットフォームを、世界4位の人口を誇るインドネシア市場で展開しています。

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GoToグループは昨年秋にGogoroに投資するとともに、首都ジャカルタに「ゴジェック x Gogoroパイロット」の試験的商業展開をスタート。まず250台のGogoro製電動スクーターを用意し、インドネシア国営エネルギー企業の「プルタミナ」のガソリンスタンド4箇所にGogoroのバッテリー交換ステーションを設置。将来的には5,000台の配備と、より多くのバッテリー交換ステーションの設置を目論んでいます。

画像: newsroom.gojek.com
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ケヴィン・アルウィ(ゴジェック共同創設者兼CEO)
「ゴジェックとGogoroのパートナーシップは、インドネシア全土でスマートな電気輸送を標準にすることに専念している、2つの志を同じくする企業を結集します。このような野心は、複数の利害関係者が協力している場合にのみ達成できるため、都市内輸送を再考する目標を達成するためには、このようなパートナーシップが不可欠です。(中略)インドネシアでのゴジェックの幅広いリーチと、ゴゴロの能力を組み合わせることで、変化を加速し、より多くのドライバーパートナーや消費者と、EVの利点を共有することができます。これは2030年までに車両フリートを完全に電化し、ゼロエミッションの未来を達成するという目標に向けた、重要な一歩をあらわしています」

インドネシア政府も、EV産業発展のために支援

国営企業の「プルタミナ」が関与していることが示すとおり、ゴジェックとGogoroの協業はインドネシア政府の支援も受けています。そして昨年11月18日には、大手エネルギー会社であるTBS(PT TBS エネルギ ウタマ Tbk)とゴジェックが、インドネシアでのEV採用を加速させるための合弁会社「エレクトラム」を設立することを発表しました。

上述の引用文のなかにあるように、ゴジェックは2030年までに使用する車両を100%電化してゼロエミッション達成することを目標にしています。エレクトラムの件も含み、ゴジェックの試みはEV産業の発展を国家の優先事項にしているインドネシア政府の計画にも、合致するものといえます。

インドネシア政府は都市交通をICE(内燃機関)車からEVへ以降させることに積極的で、温室効果ガス排出量(GHG)を2030年までに43%削減、2060年までにゼロにするという目標に取り組んでいます。インドネシア市場では100〜150ccのICE搭載スクーターが主流ですが、これをGogoro製品のような電動スクーターに置き換えることで、目標を実現しようという考えが関係者たちの間にはあるのでしょう。

画像: 首都ジャカルタの街を走る、Gogoroのスマートスクーター(電動スクーター)。インドネシアは年間700万台の車両が販売される世界で3番目に大きい2輪市場ですが、そのなかで2輪EVが占める割合はまだ3%以下です・・・。 newsroom.gojek.com

首都ジャカルタの街を走る、Gogoroのスマートスクーター(電動スクーター)。インドネシアは年間700万台の車両が販売される世界で3番目に大きい2輪市場ですが、そのなかで2輪EVが占める割合はまだ3%以下です・・・。

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2022年1月、Gogoroはフォックスコン(鴻海科技集團)、IBC(インドネシア バッテリー コーポレーション)、インディカ エナジーと共同パートナーシップを結んだことを発表。さらに同月中にエレクトラムとGogoroの間で覚書(MoU)が調印され、ゴジェックをはじめとするGoToグループとGogoroの関係がさらに強化されることになりました。

ともあれ今年度から、Gogoroや協力企業によるインドネシア都市交通の"電化"は本格化することになります。世界の「通勤マイル」の半分を担うのがアジア地域ですが、世界3番目の大市場であるインドネシアで電動スクーターが普及することは、世界的観点からもカーボンニュートラルへの貢献大に違いありません。今後の動静に、注目していきたいです。

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