1980年代から普及し、多くのライダーに愛された4気筒250ccスポーツ
かつては1960年代のGP用ワークスマシンに採用されるのみ・・・の高性能パワーユニットだった「4ストローク4気筒250ccエンジン」は、1970年代半ばから公道用量産スポーツ車にも採用されていくことになりました。
国内においては、1980年代〜1990年代初頭のロードレースブームとレーサーレプリカブームが後押しして、ホンダCBR250RR、ヤマハFZR250R、カワサキZXR250などのモデルが人気を博しました。これら4気筒250ccモデルは、同クラスの2ストローク2気筒のレーサーレプリカに比べると扱いやすかったこともあり、初心者や女性ライダーからも大いに指示されたのです。
またレーサーレプリカブームの先鋭化の反動で、1990年代にネイキッドブームが加熱していくなか、高性能を求めて生まれた4気筒250ccエンジンは、250ccクラスのネイキッドモデルにも好んで搭載されていくことになりました。
しかし1998年には「平成10年排出ガス規制」が施行され、国内市場で販売されていた機種の多くが環境規制対策をされることなく絶版となっていくことになりました。そして1980年代や1990年代に比べると、2000年代は国内2輪市場の規模が大幅に縮小してしまったこともあり、やがてコストのかかる4気筒250cc車はすべてラインアップから消えていくことになってしまったのです。
東南アジアで生産され、日本でも販売されるNinja ZX-25R
2010年代に入り、250ccクラスのロードスポーツは単気筒または並列2気筒・・・が当たり前の時代になりましたが、そんな背景もあって2019年秋の東京モーターショーに、カワサキがブランニューの4気筒250ccモデルであるNinja ZX-25Rを展示し、大いに話題を集めたのは記憶に新しいです。
日本での販売価格が公表される前は「100万円以上の価格帯になるのでは?」という不安? の声も多く聞きましたが、タイやインドネシアで生産することでライバルとなる既存の2気筒250ccスポーツ車に近い価格帯を実現。上記の生産国などでもNinja ZX-25Rは販売されるので、量産効果が活きるというわけです。
日本よりも若者人口が多い東南アジアでNinja ZX-25Rが大ヒットすれば、その結果として4気筒250ccスポーツというひとつの"ビジネスモデル"が確立され、カワサキ以外のメーカーからのリリースも期待できるかもしれませんね。
来年は250ccクラスのロードレースで、2気筒と4気筒の対決が楽しめそうです!!
またNinja ZX-25Rの市販開始前から、「Ninja ZX-25Rは、4ストローク2気筒250ccスポーツ車が主流になっているJP250に参戦できるのか?」ということも大きな話題となっていました。去る12月15日にMFJからリリースされた「2021年度 国内競技規則書 規則変更点のお知らせ」によると、「JP250 4気筒クラス」を新たに設定することで、Ninja ZX-25Rの参加が可能になったことが明らかになりました。
4気筒車と2気筒車では、一般論として最高出力に関しては4気筒車の方が有利ですが、4気筒車と2気筒車を近い条件で競わせるための工夫として、ライディングギアを着用したライダー込みのトータル最低重量が2気筒車は200kg、4気筒車は220kgと規定。また105dB規制の音量測定固定回転数を2気筒車7,500rpm、4気筒車11,500rpmとしており、4気筒車・・・つまりNinja ZX-25Rにハンデを追わせています。
なお、最低重量と音量測定固定回転数は、MFJカップJP250の2戦毎に見直す場合もある・・・という性能調整部分なので、2020年シーズンの展開によってはその規定値が変更されることになります。
すでにレースで活躍したという実績がある既存の2気筒車勢と、参戦初年度となる4気筒車のNinja ZX-25R・・・ということを考慮すると、性能調整というハンデもあるわけでNinja ZX-25Rがいきなり2021年度のJP250で勝ちまくるってことはないかもしれません。
ただ、Ninja ZX-25Rがレースの世界でも活躍することになれば、ライバルメーカーも負けじと対抗して新たなに4気筒250ccを開発することになるかも・・・!? ただ「参加しやすいローコストクラス」というJP250の創設時の意義を考えると、4気筒車が250ccスポーツ車の主流となるのはあまり好ましくないことなのかもしれませんね・・・?
ともあれ来シーズン、Ninja ZX-25Rがどれくらいサーキットで活躍するのか・・・? ロードレースファン的には要注目です!