のんびり走らせてくれなさそう(笑)
当たり前ですけど、ツーリングっていうのは時速40kmとか、せいぜい60kmで淡々と走るのがメイン。
基本的にHYPER VTECが作動する高回転まで回すこともないし、V4エンジンの高回転サウンドが爆裂するシーンも皆無です。
それじゃVFR800Fの本領が楽しめないだろっ!って、前編で思った訳ですが……
実際に距離を走らせてみると、これがまた感覚って変わるものです。
ちょっと反省。
フルカウルなので、ほとんど見えませんけどVFR800Fの核心になるV4エンジン。
これを4速/2000回転ちょいで流す。
イメージとしては緩やかなカーブの続く静かな海沿いを淡々と走るような感じ。
ブレーキもほとんどかけずに、減速はスロットルオフで十分。
ギアチェンジだってしない。
そうやって走っていると、同じ4気筒エンジンでもやっぱりV型4気筒と並列4気筒って違うんだなぁって気がつくんです。
わかりやすいのは、やっぱりマフラーのサウンド。
これはもう他にはない世界で、Vツインとも違うし、並列4気筒とも違う。
そこに加えて、このエンジンにはゆっくり走っているときだけに気づくパルス感がありました。
前編で言った通りですけど、高回転まで回すとVFR800Fは人格が豹変するので、繊細なことを感じている暇はありません(笑)
でも、ゆっくり走らせるとサウンドと控えめなエンジンの振動が、なかなか悪くない。
飽きないフィーリング、というやつが奥に潜んでいるんです。
ツーリングではこういうフィーリングってけっこう大事ですよね。
クルマじゃない、バイクに乗って旅をしている。
それを忘れさせない味わいがあります。
VFR800Fはハンドリングが優しい?
そこに加えて、思った以上にありがたかったのがハンドリングでした。
VFR800Fのハンドリングって、ニュートラル感と、どっしり感のバランスがいい感じなんですよ。
コーナーで思ったとおりのラインにタイヤを導いていける。
クイックすぎることがなくて、でも鈍重じゃない。
ホイールベースは1460mmで、ホンダで言うとCBR650Rが1450mmでちょっと近いです。
ですが軽快さで言うならCBR650Rのほうがその10mmの差以上に断然、機敏に感じます。
VFR800Fは243kgの重量ですが、その重量を安定感として変換しているイメージ。
バイクがライダーの感覚を追い越すことがありません。
だからいつだってコーナーで平常心を保てるんです(※注:高回転域は除きます・笑)
その余裕と穏やかさが、長距離でライダーを疲れさせません。
ウインドスクリーンも高めで走行風を防いでくれますし、フルカウルの空力もさすがホンダというか綺麗に風を流してくれる。
ブレーキはタッチが良くて、コントローラブル。
がっつり握れば相当効きますけど、ツーリングで流すときに気難しさがまったくありません。
自然にブレーキをかけて、自然にブレーキを放している感じ。
減速に違和感がまったく無いのが、地味に快感でもあります。
パワーデリバリーが綺麗でスロットルオン/オフでのハンチングがほとんど出ないというか、ギクシャクしないのもいい。
ゆっくり流すときは滑るように走るエンジンなんですね。
おかげで乗り手はいたって平和な気持ちに包まれます。
強いて言えば、前編でもお伝えしましたけど、ちょっと前傾ポジションが強い。
でもココは二重人格バイクVFR800Fのアイデンティティでもある部分なので仕方ないですが……