連載『ホンダ偏愛主義』。自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員でフリーランスライターの河原良雄氏が、ホンダを愛するようになった理由を、自身の経験を元に紐解きます。第38回は「神様、仏様、タイプR様」というお話です!!(デジタル編集:A Little Honda編集部)
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ホンダ党にとってタイプRは神様のような存在だ。
NSXタイプRの登場はまさに衝撃的だった。当時、和製スーパーカーとして評価が高かったNSXをベースに“さらなるスポーツ”を注入していたからだ。
パワーは自主規制のため最高出力は280psのままながら、クランクシャフトやピストンなどの精度を向上。さらにボディ細部のアルミ化などで車両重量120kgものダイエットを敢行。最終減速比も10%近く低めて加速性能をアップしていた。
専用タイヤと強化したダンパー&スプリング、アライメントからLSDまで手が加えられてしたのである。さらにカーボンコンポジットのレカロ製バケットシート、MOMO製ハンドル、エンケイ製アルミホイール、チタン削り出しシフトノブと言った軽量スペシャルパーツを装備していた。すべてのパーツで走りを磨く、それがタイプRだったのである。
タイプR路線は95年のインテグラ、そして97年のシビックで身近なものとなる。インテグラは1.8Lで200ps/8000rpm、シビックは1.6Lで185ps/8200rpmを引き出していた。高回転高出力のホンダらしさを前面に押し出していたのである。そしてレカロ製シート、MOMO製ハンドル、チタン製シフトノブ、エンケイ製アルミホイールはタイプRのお約束アイテムとなったのだ。
さらにボディカラーはかつてのホンダF1に由来するチャンピオンシップホワイトが定番となった。
これ以降のタイプRは、インテグラは2001年にクーペとなって2L版220psとなり、同年にシビックHBは2L版215psのUKホンダ製の逆輸入となる。07年にははシビックに2L版225psを搭載した4ドアが登場し、レーシングカー並みの走りで一世を風靡。
同年にUK製シビック3ドアHBが201psで限定販売される。その後シビックは現行モデルまでターボを備えたUK製がタイプRを名乗ることなる。たとえUK製だろうがホンダはホンダ、コアなファンは常にタイプRを待ち焦がれているのである。