エンジンのベースとなったのは・・・なんと、ホンダではなくヤマハでした!
鬼才・・・ミルヤードさんの作品は過去ロレンスでも何度か紹介しましたが、彼の作風の特徴は既存のエンジンをベースに、ものすごいマルチシリンダー化をしてしまうところでしょう。
5気筒化(850cc)したカワサキH1、V8化されたカワサキZ1、V12化されたカワサキZ1300、ホンダSS50をVツイン化したSS100などなど・・・その技術力の高さにはびっくりするしかありません。
またダッジ・バイパーのV10・8リッターエンジンを搭載した500馬力!! のオリジナルバイクのミルヤード・バイパーV10とか、航空機エンジン(プラット&ホイットニーR-1340)のシリンダーなどを使った5,000cc!! のVツイン、ザ・フライング・ミルヤードなど・・・彼の創造力はとどまるところをしりません・・・。
そんな彼の最新作が、レジェンドライダーのマイク・ヘイルウッドが、1967年世界ロードレースGP350ccクラスで王者に輝いたときのマシンであるホンダRC174のレプリカである「RC374」です。
RC374という車名は、その排気量に由来するもので、もちろんRC174にかけたジョーク的な名前でもあります(なお、オリジナルのRC174は297ccです)。RC174のレプリカは、過去にレプリカビルダーとして著名なジョージ・ビールが作っていますが、ミルヤードの作品は今までの彼の作風どおりの、既存のエンジンをベースに超絶改造したものです。
ミルヤードさんがベースに選んだのは、ヤマハFZR250Rの水冷4ストロークDOHC4気筒でした。ホンダファン的にはなんでCBR250RRベースじゃないの・・・? と思うのでしょうが、まぁたまたまFZR250Rのエンジンを2機入手したとか、そういう理由だったりするのかもしれませんね?
ミルヤードさんは2017年7月から製作を開始し、クランクシャフトはオリジナル同様に組み立て式!! で、ミルヤードさんがスクラッチで1から作ったそうです。わずかなスペシャリストによる加工の手助け以外は、すべてミルヤードさんの作業場で製作されたものでした。
車体もすべてミルヤードさんが製作!
RC374は車体もオリジナルのRC174風に作られているのがスゴイです。さすがにダイヤモンド型フレームはオリジナルのようにテーパー管を使ったりはしてなさそうですが、雰囲気的には巧みにRC174を再現していると言えるでしょう。
エンジンベースのヤマハFZR250R同様冷却は水冷なのでラジエーターがつきますが、オリジナルのRC174と同じく貫通式のシフトシャフト(右・左どちらでもシフト操作が可能)、そして乾式クラッチになっているなど、こだわりを感じさせます。
それでは!! 迫力のホンダシックスのサウンドをお楽しみください!
こちらの動画は、今年の4月に英国スタッフォードで行われた「第38回キャロル・ナッシュ・インターナショナル・クラシック・モーターサイクルショー」で公開された、RC374完成車の初エンジン始動の模様を収録したものです。
上で紹介したエンジン単体での始動では、RCレーサーの特徴であるメガホンマフラーが付いていなかったですが、この動画では6本のメガホンから奏でられる「ホンダミュージック」を堪能することができます! ・・・正確にはヤマハエンジンがベースなので、RC374の音は「ヤマハミュージック」ですかね(笑)。
これからも、ミルヤードさんが何を作るのか・・・その活動から目が離せないですね!