公道ロードレース界の、伝説的一族のひとり
マン島TTレースをはじめとする、リアル・ロードレーシング(公道レース)の世界で、ダンロップ家は最も有名な一族と言えるでしょう。ウィリアムの父のロバートはTT5勝・ノースウェスト200で15勝を記録。叔父のジョイはTT最多勝の26勝の記録保持者。そして弟のマイケルは現在最強のTTライダーと讃えられ、TT歴代3位の18勝を記録しています。
2000年に17歳でレースデビューしたウィリアムは、偉大な血統のなかで唯一TTで勝利することはできませんでした(表彰台6度)。しかしアイルランド伝統の公道レースであるノースウェスト200では4勝、そしてアルスターGPでは7勝という実績を持ち、彼のリアル・ロードレーシングのライダーとしての実力の高さは万人の認めるところでした。
偉大なる叔父、そして父のもとへ・・・
アイルランドのダブリンの北、スケリーズで行われる「スケリーズ100」ですが、ウィリアムは練習走行の3周目のサムズトンネルの区間でクラッシュし、治療の甲斐なく32歳の若さでこの世を去ることになりました・・・。
叔父のジョイは2000年にエストニアの公道レースで・・・そして父ロバートは2008年のノースウェスト200で事故死しています。死を悲しむのに年齢は関係ないことではありますが、叔父ジョイ48歳、父ロバート47歳というそれぞれの享年を想うと、ウィリアムの若すぎる死は残念すぎると考えてしまいます・・・。
叔父のTT最多勝記録更新に向けて活躍するウィリアムの弟で、リアル・ロードレーシング・ライダーとしてダンロップ家唯一のサバイバーとなったマイケルの現在の心境は如何許りか・・・。リアル・ロードレーシングと縁遠い日本人には狂気の沙汰のひと言で片付けられるリアル・ロードレーシングとそれに挑むライダーたちですが、彼らが1世紀以上の時間をかけて積み上げてきた"歴史"に対する誇りを思えば、誰も彼らの生き様に軽薄な異論を唱えることはできないと思います・・・。
こちらの動画は、生前のウィリアムの活躍を収録したものです。ウィリアムの魂が、天国での安らかな休息を得られることを願ってやみません・・・。