これがホンダの「CB」か?
ホンダにとって「CB」っていうのは看板みたいなもの。そして、日本のスポーツバイクのベンチマークみたいなものでもあります。
そのシリーズの最新リッタースポーツがCB1000Rなんですけど、ぶっちゃけ謎が多い(笑)
公式ムービーがテーマとして掲げるのは「NEO SPORTS CAFE」ですよ? 街乗りがメインっぽい雰囲気。これは要するにカフェレーサーを意識してるってことですよね?
しかしですね……
エンジンはこちら、CBR1000RR(SC57型)のパワーユニットをストリート向けにアレンジ。最高出力145馬力を10500回転で発生いたします。
145馬力って……街乗りカフェって言うには、ちょっとパワーありすぎでしょ!? でも、このエンジンのデザインは好きだけど!
とりあえず、ちょいと動かしてみました。
うわ、軽っ!?
動きが軽いです。車両重量は212kgとなってますが……もっと動きは軽く感じます。200kg以下のバイクみたい。マジな話、びっくりするくらい軽い!
考えてもわからない時は、とりあえず走る!
カフェなのか? スポーツなのか? そして、どのあたりがネオなのか?
考えてもわからないので、まずは「スポーツ」を感じてみようと峠に持ってきてみました。
うん……なかなかどうして後ろから見たスタイルが美しいです。やる気が出ますね(笑)
MAX145馬力を恐れないための……
最初は恐る恐る……パワーモードが「SPORTS」「STANDARD」「RAIN」の3つから選べますが、145馬力なのでビビりつつ「RAIN」に。雨じゃないけど「RAIN」です(笑)
「RAIN」は1速から3速で出力制御が入り、トラクションコントロールも介入度が最強。パワースライドしない!という自信をくれます。
でも結果、このビビり根性が良かったかも。
RAINモードだとレスポンスはかなり穏やか。おかげでスロットル操作に気を使わず、車体側に意識を向けることができました。
最初動かした時の印象のまま、動きが軽い。何をしても軽い。コーナーの進入でスイッと自然にバンクするし、切り替しもラクラク。1000ccなんて思えないくらいです。
あとこれ、たぶん車体の剛性が半端じゃないと思う。スロットルオンにまったく躊躇しない安定感があります。
そしてフロントブレーキですが、これがけっこうガツンと効く!初期制動の立ち上がりが早いというか、ブレーキの効きがダイレクトです。
でも扱いにくさは特に感じず、5分もしたら慣れました。
そしてこれ、慣れると「ブレーキングに自信が持てるブレーキ」です。
ブレーキが安心できると知り、車体の安心感もあるのでパワーモードを「STANDARD」へ。
軽い吹け上がり感はスーパースポーツ的ですが、特性はすこしCB1300シリーズに近いところもあります。なるほどコレは「CBの走り」だ、って思いました。
バイクに慣れてきて、だんだん楽しくなってきます(笑)
ココがすごいよCB1000R
リヤサスペンションは、やや固めの印象。このおかげでスロットルオンの瞬間から後輪の接地感を明確に感じられます。
もちろんバンク中にギャップを踏んでも安定感が崩れません。なかなか良いです。けっこうこのセッティングは気に入りました!
ちなみにシートも固めの座り心地。走りの際のトラクションの感じやすさを優先しているように思いました。
おかげで峠ではいい仕事をしてくれます。
でもツーリングだとどうかな? やってないからわからないけど、堅すぎるかも?
そしてコレが完璧! オートシフターでのシフトダウンが最高ですよ。スロットルオフからほとんどショック無しでシフトダウンが決まります。
もはや間違いなく、ボクよりCBのほうがシフトダウンが上手い(笑)
ここまでくるともう敵いませんね。オートシフターにおまかせのほうが上手く走れます。
「SPORTS」は禁断の扉
今日はワインディングメインなので、身体もタイヤもあったまってきたところでパワーモードを「SPORTS」へ。
……あまりにも激変でした。
これはちょっと……驚く、っていうか速っ!
「STANDARD」とこんなに違うの!? っていうくらいに変わるんです。
レスポンスがヤバい。そして吹け上がりがヤバい。1速ホールドなんて絶対無理(笑)2速ですらコーナーを抜けると、あっという間に次のコーナーが迫ってくる!
強いブレーキだと、フロントサスペンションの沈みこみが若干速すぎるようにも感じます。
おいっ!? さっきまでと全然違うバイクだよっ!
「SPORTS」でのCB1000Rは完全にスーパースポーツです。ボクには底が見えません、参った……。
でも確かな足周りと剛性感のある車体のおかげでギリギリ楽しめます。心拍数けっこう上がるけどね(笑)
最後はもうボクが知ってるこれまでのホンダ「CB」に乗ってる気分じゃありませんでした。ここまで尖らせてきたか……CB1000R。
新しい「CB」として……
リッタークラスのCBで考えると、段階的に空冷エンジンのCB1100がテイスティ、CB1300シリーズがオールラウンド、そしてこのCB10000Rが最もピュアにスポーツって感じです。
これほどエッジの効いたCBは今までに無いかもしれません。
車体の動きも、エンジンの吹け上がりも、何もかもとんでもなく軽い。
CB1300が「ズオォォーッ」って重厚に加速するなら、CB1000Rは「フォーンッ」って乾いたサウンド。スーパースポーツみたいな感覚です。
動きもCB1300が「スウッ」っと動くなら、CB1000Rは「スッ」で動作が完了する。
スポーツという側面では、間違いなくCBシリーズの中で最上級でした。
そういえばこのバイク、カフェを謳っていますが、ひと事も「クラシック」とは言ってないですね。
ていうことは、現代カフェレーサーたるもの、これくらいエッジが効いているべきだろう! っていうホンダの提案でしょうか?
そういう意味なら確かにCB1000Rは「NEO」な「CAFE」かもしれません。
だってこんなに「SPORTS」に尖ったカフェレーサーなんて今までに無い!
ホンダのバイクは優等生なんて言われがちですが、ネイキッドでもCB1000Rはその限りじゃないように思えます。
これ、ひょっとするとだけど、今までの「CB」らしさをひっくり返しにきたバイクなのかもしれませんよ!?