ボルボを自動車メーカーとして飛躍的に成長させるきっかけとなった「ボルボ140シリーズ」は、1966年8月17日に発売された。
そしてこのボルボ140シリーズは、8年間で約125万台を生産しボルボ初のミリオンセラーモデルとなったのである。
殺人事件捜査の最中に発表された
ボルボ144は偶然にも現地で起こったある事件の犯人を警察が追跡する最中に発表されたのである。
1966年8月17日、スウェーデン・イェーテボリのホテル、ローレンズバーグに約400人ものジャーナリストが集まった。ボルボの新型車を見るためだ。そしてそのプレス発表会の会場には、巨大な木箱に隠された車両がクレーン車で搬入されていた。
通常なら劇的なアンベールとともに新型車がお披露目される場面なのだが、このときは警官殺害事件の犯人を捕らえるために大規模な捜査が行われていたため、それが困難になってしまったのだ。
隠されていた木箱の中は捜索され、集まった人たちの安全を確保するため発表会全体の手順の秘密を守ることもできなくなってしまったのである。
実は、そのとき警察は「ふたりの逃亡者はホテルのとなりの映画館にいる可能性があり、映画館からの待避の必要がある」という機密情報をもっていた、というエピソードも残されている。
つまり殺人事件の容疑者がとなりの建物にいるかもしれない状況での新車発表会になったというわけである。
そうしたなかボルボ140シリーズはお披露目された。その場でプレス関係者が目にしたのは、シンプルで飾らない、そしてモダンなデザインのクルマである。
さらにこの印象深いアンベールと同時進行で、オスロ、コペンハーゲン、そしてヘルシンキでもボルボ144シリーズは発表されたのだった。
140シリーズからボルボのネーミング体系が導入された
ちなみにボルボは、この140シリーズから、1番目の数字がモデルシリーズ、2番目が気筒数、そして3番目がドア数を表すネーミング体系を導入している。
生産累計は1,251,371台の上る
1974年夏には142、144そして145の生産が終了した。140シリーズの生産累計は1,251,371台に上りボルボ初のミリオンセラーモデルとなった。この成功でボルボは世界的な自動車ブランドとなったわけだ。
しかし140シリーズの栄光はそこにとどまらず、1993年まで続くのである。140シリーズの血統を受け継いだボルボ240シリーズが19年間で約280万台を販売、ボルボ最大の生産台数を誇ることになった。