少年の頃、自転車で沈む夕陽を追って走ったことがある。気が付いたら日はとっぷり暮れて、僕は今どこにいるかわからず、迷子になっていた。
スマホなどない時代の話だ。ほとんどべそをかきながら、闇雲に帰り道を探して走り回ったのを覚えている。
大人になってから同じことをすれば、たいていの人は「バカなことを」とあざ笑うだろう。しかし、ライダーというものは、そういう少年の頃の気分を色濃く持ち合わせている人種なのである。
©東本昌平先生・モーターマガジン社『RIDE92』より
スマホなどない時代の話だ。ほとんどべそをかきながら、闇雲に帰り道を探して走り回ったのを覚えている。
大人になってから同じことをすれば、たいていの人は「バカなことを」とあざ笑うだろう。しかし、ライダーというものは、そういう少年の頃の気分を色濃く持ち合わせている人種なのである。
©東本昌平先生・モーターマガジン社『RIDE92』より
男はガキの頃と変わらない。
あの頃と同じこだわりを抱えながら生きている。だから彼はいまでもオートバイで夕陽を追いかけるのだ。そこに意味などいらない。追いかけたいから追いかける。
たとえオートバイであっても、夕陽には勝てるわけがない。
それでも、もっと速いバイクなら?とバイク乗りは夢想する。男は新しいバイクを買うのだ。
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