あなたの”大切なモノ"を奪った相手が、国家だったとしたら。そしてその”大切なモノ”を奪い返すチャンスがほんの少しでもあったとしたら?あなたは立ち上がって戦うことができるだろうか??
本作を観ていない人は、どんなことをしても観るべき。そういう映画だ。

本作のヒロイン マリアは第二次世界大戦の最中、叔母であるアデーレの肖像画をナチスに奪われる。その肖像画こそ、クリムトの名画「黄金のアデーレ」だった。
20世紀前半のヨーロッパは、ナチスが勢力を伸ばし、マリアが住むオーストリアも例外ではなかった。映画『ミケランジェロ・プロジェクト』でも描かれたように、ナチスはヨーロッパ各国から美術品を強奪し収集していた。
ユダヤ系オーストリア人のマリアはナチスの暴力にさらされ、家族や友人を奪われ、大切な肖像画も略奪される。その後祖国を捨てて米国へ亡命したマリアたちだったが、やがてアデーレの肖像画を取り返せる、小さな小さな可能性が訪れる・・。

20世紀末、オーストリア政府は彼らが保管する美術品の中から、ナチスによって不当に奪われた可能性がある作品を正当な持ち主に返還すると発表し、その申し立ての受付を始めた。
しかしそれは、民主的な体制をもっていることをアピールする一種のプロパガンダだったのであり、まさかマリアがオーストリアの国宝(映画ではオーストリアのモナリザと説明)である「黄金のアデーレ」の返却を訴えてくるとは夢にも思わなかったのだ。

マリアは駆け出しの弁護士である、友人の息子ランディに依頼し、オーストリア政府と法的に争うことになる。彼女にとってその対象が国宝であるかどうかは関係がない、単に大切な叔父と叔母の遺品、そして彼らとの想い出を取り返したいというだけなのであるが。そしてその想いが、単に金のためにマリアに手を貸しただけのランディの心も動かす。

本作は、彼女が決死の思いでナチスの手を逃れて亡命する、非常にスリリングな逃亡劇も描かれている。マリアは気高く、誇り高い。オーストリア政府が不当に彼らの訴えを退けたときも、彼女は無念を抑えてプライドある人間として振る舞った。
その彼女の姿を見て、ランディは勤めていた法律事務所を辞してまで、オーストリア政府を相手取っての訴訟に踏み切るのである。(ランディの曽祖父もまた、オーストリアでのホロコーストで命を奪われていた)

そしてランディの熱意が逆にマリアの心も動かす。半世紀前にはナチスの横暴から逃げ出したが、今度は戦おう、そう決意する。

本作は、なぜか非常に大人しいというか、静謐な感じの作品、大人の映画として紹介されているが、そうではない。人間の尊厳を賭けて、勝ち目のない戦いに立ち向かった誇り高い女性と若き青年の雄々しい挑戦の物語である。

画像: 黄金のアデーレ名画の帰還 予告編ショート youtu.be

黄金のアデーレ名画の帰還 予告編ショート

youtu.be
コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.