44年ぶりの新型モデル投入!
1972年に生まれた、オール・アルミ・エンジンのXR750(空冷V型2気筒750cc)は長年AMAフラットトラックの世界で活躍しました。そして今も、ファクトリーライダーやプライベーターの手により、XR750はトップ争いをし続けています。移り変わりの早いモータースポーツの世界で、これだけ長生きしたレーシングモデルは非常に稀です。
しかしさすがに40年以上となると、XR750もそろそろ退役を考える時期になりました。XR750誕生時のエンジン回転数は7,600rpmという設定でしたが、その10年後の時代には9,200rpmまで回転数を高めて使うようにチューンアップされました。そして今は10,000rpm以上まで高められています。
フラットトラックもここまで高回転化して戦うようになると、カワサキ・ニンジャ650のように一体クランクでメタル軸受けのコンロッドを採用するエンジンがいろんな点で優位になります。前述のようにXR750は依然高い戦闘力をキープしてますが、それを維持するためには毎戦クランクシャフト、もしくはビッグエンドのベアリングの交換が必須となります。
そこでハーレーダビッドソンのファクトリーは、XR750に代わる次世代機として、XG750Rを開発しました。一体型クランクシャフトで、軸受けはメイン、コンロッドともにプレーンメタル。XG750Rはレース用のスペシャルパーツとしてCPピストンとキャリロ・コンロッドが奢られています。チェーン駆動のOHC機構は、1本のカムシャフトとペアのフォーク型ローラーロッカーを使い、4本のバルブを制御する仕組みです。
ハンドルを託されたのは期待のルーキー!
今年、ハーレーダビッドソンのファクトリーチームは、ブラッド・ベーカーにXR750を、そして若干18歳のデイヴィス・フィッシャーにXG750Rを与えています。今年からグランド・ナショナル・チャンピオンシップ1=GNC1を走るフィッシャーは、2015年のGNC2を優勝4回・2位5回という圧倒的な成績で制覇。その前年の2014年もGNC2タイトルをわずか1ポイント差で逃したという若手最有望株です。
エースのB.ベーカーは、XG750Rはモトクロス用450cc単気筒エンジンのフラットトラッカーで育ってきた若手には、XR750よりも乗り換えやすくライディングスタイルがマッチするだろう、と語っています。チームも、若いライダーとともにXG750Rの開発を進めたいという意向で、フィッシャーにXG750Rを与えたそうです(とはいえ、B.ベーカーもまだ23歳のヤングですけどね)。
大活躍しているブライアン・スミスの愛機のカワサキ・ニンジャ650、新たな日本勢のチャレンジとして注目されているヤマハFZ-07(MT-07)、そして来年からはインディアンFTR750も参戦・・・と様々なブランドが参戦するようになったAMAプロ・フラットトラックGNC1で、ハーレーダビッドソンはこれからXG750Rをどのように発展させるのか? 注目していきたいです。