輸入車ディーラー(それも正規ディーラー!)は敷居が高くて気軽には入りづらい。そう思っている人は実はまだ多くいるようである。そこでBMW/MINIは“ジーニアス”という制度を導入した。(Motor Magazine 2016年6月号)
新たなおもてなしのスタイル
BMWグループでは、2013年からGenius(ジーニアス)をワールドワイドで導入開始、日本でも14年よりBMWとMINIで導入しているという。このあまり聞き慣れないジーニアスというのはどういったものなのだろうか。実際にBMWジーニアス、MINIジーニアスとして現場に立つ3人に話をうかがった。
「ジーニアスは、初めてきたお客さまにBMWの魅力をお伝えするのが役割です。でも、もとはセールスコンサルタントなのでついクルマを売ろうとしてしまいがちですが……」(BMW大阪 千里支店 BMWジーニアス 谷浦弘章さん/以下谷浦)
「BMWのクルマづくりのこだわりをフランクにお伝えしています」(BMW城東鶴見支店 BMWジーニアス 川島千鶴さん/以下川島)
「MINIのここがいいんですよとか、こうした特徴があるんですよということをお話しています」(MINI千種 MINIジーニアス 野坂志織さん/以下野坂)
セールスとはどう違うのか?
つまりBMWやMINIの魅力や価値を新しいお客さまへ伝えるのが役目ということである。では、セールスコンサルタントとはどう違うのか。間違われないのだろうか。
「私を見てセールスコンサルタントだと誰も思わないんです。受付の女の子だと思われます(笑)」(川島)「私たちジーニアスはつねにショールームにいて、なにかあったら声をかけていただけるようにしてます。ショールームにいらっしゃるお客さますべての担当なんです」(谷浦)
「お客さまへのアプローチがまったく違います。ジーニアスは、クルマを売るわけではないのでMINIの魅力を素直にお話しています。そこにお客さまは親しみを持っていただいていると感じています」(野坂)
他とは異なるプレミアムに相応しい価値を提供する
たとえば、ふらっとショールームを訪れても、購入のプレッシャーを感じることなく、BMWやMINIのことを自然体で話せるのがジーニアスというわけだ。また最近は、インターネットの発達により、商品知識こそ簡単に入手できるが、ジーニアスとはショールームで実際のクルマを前にして話すので、ネットでは経験できない提案や相談、期待を超える情報が得られるのである。
今、ショールームには変化が起きている。BMW i3や2シリーズアクティブツアラー、MINIクラブマンの登場により、これまでとは違う人たちが多く来店するようになったのである。そうしたニューカスタマーに他のブランドにはない価値を提供するのもジーニアスに期待されていることのひとつである。
「“あなたから買いたかった”が最高の褒め言葉です」ー谷浦弘章
「お客さまからいろいろと教わることも多いんです」ー川島千鶴
「リラックスできる空間で、気軽にお話しに来てください」ー野坂志織
さらにBMW、MINIともにモデル数が増えたことでひと昔前とは格段に違う知識力も要求される。しかしそうした部分はジーニアスが受け持ち、販売は主にセールスコンサルタントが担当するという体制で顧客をフォローすることができるため、販売効率は確実にアップしているという。そしてこれらのすべてはCS(顧客満足度)の向上とともに、誰もが気軽に来店できるショールームづくりに繋がっているのである。
最後に、谷浦さんの言葉を借りよう。「BMWは、なんでも先駆けてやるメーカーですが、ジーニアスもそうして導入した制度なんです。気軽にショールームに来ていただければ、私たちが笑顔でお迎えします」
BMW/MINIは、2020年までにすべての拠点にジーニアスを置くという。そう、正規ディーラーに行けば、素敵な笑顔のジーニアスに必ず会えるようになるのだ。それはプレミアムブランドらしい新しいおもてなしの形なのである。(文:千葉知充/写真:永元秀和)
※在籍拠点などはBMWジーニアス(http:www.bmw.co.jp/ja/topics/service-and-accessory/bmw-genius.html)、MINIジーニアス(http:www.mini.jp/genius/)から確認できます。
http://www.bmw.co.jp/ja/topics/service-and-accessory/bmw-genius.html