1960年代のスパイ映画のリバイバル
スーパーマン俳優のヘンリー・カビルと、『ソーシャルネットワーク』でブレイクしたアーミー・ハマー主演の、スタイリッシュスパイ映画。
冷戦時代を舞台にしているだけに携帯電話は出てこない代わりに、ソ連とKGBが登場する。
本作は、1960年代のテレビドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のリメイクだ。ナポレオン・ソロを、僕は知っているが、もちろん見たことはない。
(米国では1964年から1968年まで。日本では、1966年から1970年まで放送されたという)
米ソの超人的スパイのコラボレーション
『0011ナポレオン・ソロ』は、冒頭で書いたように原題は『The Man from U.N.C.L.E』。U.N.C.L.Eというスパイ組織の男、という意味で、見ての通り単数形だから、本来はソロを主役とした物語だ。
(僕もそのように記憶していた)
U.N.C.L.EはUnited Network Command for Law and Enforcementの頭文字をとったもので、米ソ英を軸とした超国家的な組織、ということになっている。
当初脇役として配されていたKGBエージェント イリヤ・クリヤキンに人気が集まり、結果的にソロとイリヤのタッグを主人公としたそうだ。本作では、最初からソロとイリヤが同格で、腕利きだが女好きなソロと、実直で任務に忠実なイリヤを二極に配して、その対比を楽しめるようにストーリーを作った。共通なのは、二人が非常な”イケメン”であるということ、そして優秀なスパイである、ということだけだ。
また、U.N.C.L.Eという組織も、本作ではまだ成立しておらず、今回はソロとイリヤの出会いを上述のように二人の対比を好対照に表現したうえで、U.N.C.L.Eの一員として働くようになる経緯を描いている。
本作は少なくとも数回続くシリーズ物の第一弾として作られているが、果たして次回作が作られるのか、寡聞にして僕は知らない。しかし、少なくとも、他のスパイ映画と比べても十分鑑賞に耐える上質なエンターテインメントに仕上がっていると思う。ガイ・リッチー監督の作品の中でも”面白い ” と素直に人に推薦できる作品の一つになった、と言えるだろう。