復帰初年度ながら 予選ワンツーも獲得したGSX-RR

画像: #41 アレイシ・エスパルガロ車(Racing オートバイ MotoGP GRAPHICS 2016@モーターマガジン社)  www.motormagazine.co.jp

#41 アレイシ・エスパルガロ車(Racing オートバイ MotoGP GRAPHICS 2016@モーターマガジン社)

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言うまでもなく、スズキにとっての2015年は、3シーズンのブランク明けの復帰イヤー。その間ライバルメー カーは常に実戦で磨かれて進化し、モトGPというレースを超ハイレベルな戦いへと昇華させていた。「復帰した初年度はもちろん、そうそう上手くはいかない、甘くないとは覚悟していました。けれど休止期間にも、我々も開発を続けていましたから、その成果を実戦で試せるという期待感もありましたね」とは、テクニカルマネージャーを務める河内健さん。

2012年からMotoGPへの参戦を休止したSUZUKI。休止を決定したからといって、GPマシンの開発を休止していた訳ではない。その実力を見せつけた2015年シリーズ。最前線で実戦を戦い続けてきたメーカーに敵う訳ではない。しかし、予選でのワンツーを獲得して見せた。それだけでも十分、戦えるマシンなのだという事を証明できた1年だった。

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「シーズン序盤は、パワーが足りずにハンドリングが良いという『車体が勝っている』という状態でした。それが、何段階かパワーアップしたエンジンを持ち込んで、セットアップで車体と釣り合い、最終的に車体を追い越していった。これは想定内の開発ステップで、方向をさぐりながら、その方向は間違えてなかった、という感触もつかめました」(河内)

レギュレーションにより、シーズン中のエンジン開発が認められていたSUZUKIは、エスパ ルガロ10基、ビニャーレス11基のエンジンを使用し、 フレームを軸として、エンジンやセッティングでパワーアップを図る方向で開発を進めていった。

「パワーアップすると、車体が追い付かないという状況になりましたが、そこはガマンして16年モデルへの方向性を探っていました。安定した成績も挙げることができたのも、車体を大きく変更しなかったからだと思います」(河内)

物事には全て軸が必要で、何もかも一斉に変えてしまう事はできない。その軸に何を選択するか、そこにフレームを選んだSUZUKIの賭け。それが正解だったのかどうかは誰にも分らない。だけど、正解だと確信できる結果が出る。それが大切なのだと思う。

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シーズンインしてからのスズキは、開幕戦こそエスパルガロ11位、ビニャーレス 14位という結果だったが、序盤はエスパルガロがコンスタントにトップ10に入る力走を見せ、ビニャーレスはモトGPマシンに徐々に慣れながら結果を出していった。そのハイライトが、第7戦カタルニアでの、エスパルガロービニャーレス による予選1-2番手!スズキのポー ルポジションは、07年オランダGPでのクリス・バーミューレン以来、実に8年ぶりのものだった。

8年ぶり、そして、復帰1年目でのフロントロー獲得。決勝結果は決して、満足のいく結果ではなかったが、強さと弱点を同時に見い出せた重要な一戦となった。

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「レース後にアレイシが言っていた通り、シームレスミッションを搭載していないロスが出てしまいました。クラッチミートは良かったのですが、シフトアップのたびに一瞬遅れ、さらに加速でも後れを取ったための順位でした」(河内)
シームレスミッションとは、今や各ワークスマシンが当たり前のように装備しているギアボックスで、シフトアップ&ダウンの瞬間に一瞬のロスもなくギア チェンジできるメカニズム。スズキもこのメカニズムが完成させていたものの、レースに使用できる万全の完成度に仕上がるまではと、実戦投入が見送られていた。ただし、これも原因がハッキリした弱点であり、16年モデルにはウイン ターテストからシームレスミッションが投入されている。

長所と弱点、そしてその課題の解決策を見極 めることができた15年シリーズ。そして、その弱点を改善しスタートを切った16年。先日の第3戦アメリカGPでは、マーベリック・ビニャーレス<予選5番手、決勝4位>、アレイシ・エスパルガロ<予選9番手、決勝5位>と着実に順位を上げてきた2人のライダー達に期待せずにはいられない1年!!

次戦は4月24日に開催される、第4戦スペインGP。復活2年目のSUZUKI!頑張ってほしいです。

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