みなさんは"フェザーベッド"というモーターサイクル用のフレームをご存知ですか? 私、日本で2番目か3番目に? 英国製モーターサイクルに詳しい人間ゆえ、語りだすとキリがないので簡単にご説明させていただきます。
カワサキZ1やヤマハTD2などにコピーされた英国のノートンのフェザーベッドフレームは、近代のスイングアーム・フレームのルーツとなった名品です。マンガン・モリブデン鋼管のレイノルズ531を2本、ステアリングヘッド起点にぐる〜っと曲げてくっつけた構造がその特徴です。
より、詳しくフェザーベッドフレームを知りたい方は、ぜひこちらの過去記事をご参照ください!
フレームはさておき? このエンジン、凄そうです!
優秀なフェザーベッドフレームは、カスタムバイクのフレームとして今でも高い人気を誇ってます。トライアンフのエンジンを積んだ「トライトン(Triton)」は最もメジャーでしょう。そのほか、BSAゴールドスターの単気筒エンジンを搭載した「ノーゴールド(NorGold)」、BSAツインエンジンを積んだ「ノーブサ(NorBSA)」、ビンセントVツインを搭載する「ノービン(Norvin)」などなど、今までいろんなエンジンがフェザーベッドフレームに搭載され、カスタムバイクシーンを盛り上げてきました。
今回紹介するカスタムバイクは、そんなフェザーベッド・スペシャルの中でもかなり異質です。なんとエンジンはV8・1700cc!! 一体どんな音を出しながら、どんな走りをするのか・・・興味津々です。
ジョン・クラッジントンさんが作ったこのフェザーベッドスペシャルに搭載されるV8エンジンは、英国人にはおなじみのリライアント・ロビンという3輪車の4気筒850ccエンジンを、2つくっつけた仕様です。1/2オフセットのコンロッドによるV8化で、180度クランクになっています。そのサウンドは、1963〜1964年のF1用エンジンであるコベントリー・クライマックスのようだとか・・・。
英国の"バックヤード・ビルダー文化"、バンザイ!
英国に一度でも旅行したことがある方はご存知でしょうが、英国の一般的な戸建は、通りの裏側に庭があります。そういう裏庭=バックヤードの小屋やシェードで、趣味人が旋盤やボール盤でシコシコとクルマやモーターサイクルいじりを楽しむ・・・という文化が、彼の地にはあります。
このフェザーベッドV8スペシャルも、きっとそういう精神のもとに作られたマシンなのでしょうね。近年では日本も、優れたカスタムバイク文化の発信地として紹介されることが多いですが、草の根レベルではまだまだ英国に追いつけ追い越せレベルにあるのは否めないでしょう。
良識派は、「安全性は担保されているのか・・・」とか眉をひそめるでしょうけど、とりあえず作りたいものは作る、という彼らのスピリットに、素直に敬意を表したいです!