とにかく軽くてコンパクト。
乗りやすく、扱いやすい。だから速い。
それがMT-07に対する僕の印象だ。
688ccで73馬力。決してパワフルではないが、180Kg程度の軽量ボディは400ccクラス。
実際、中型免許の教習車であるHONDA CB400SFの大きさは:
全長 x 全幅 x 全高 : 車両重量
2,080mm x 725mm x 1,080mm :197kg
これに対して、MT-07のサイズは:
全長 x 全幅 x 全高 : 車両重量
2,085mm x 745mm x 1,090mm :179kg
大きさは400ccなみで、重量はむしろ軽い。
馬力でいえば、CB400SFが53馬力。MT-07は前述の通り 73馬力。いかにMT-07が速く走れるかわかるだろう。パワーウェイトレシオ(1馬力あたりの重量比。この数値が小さい方が加速性能はいい。)でみると、CB400SFが3.72で、MT-07が2.45となる。
まあ、ともに絶対性能を競うバイクではないし、パワーウェイトレシオだけでバイクの速さを決められるわけでもないから、あくまで参考値に過ぎないが、MT-07がいかにコンパクトなバイクであり、そのことがこのバイクの走りを象徴していることはわかるだろう。
日常使いの気軽さはスクーター並みかも
さて、今日は天気もいいので、お台場から豊洲を抜けて、銀座にまでやってきた。
ホイールベースの短さを利して、ひらりひらりと身を翻し、常に車の流れをサクッと抜けて走れるので、ストレスが溜まることがない。
銀座でクイックランチをとった。短時間であっても、路肩に大型バイクを停めておくのは、歩行者の邪魔にならないかどうか気になるものだが、MT-07の小さなボディはここでもバイク乗りにはありがたい。
正真正銘毎日乗ることができる相棒。それがMT-07だと思う。
敢えてケチをつけてみよう。
褒め称えてばかりいても芸がないので、どこか欠点を探してみようと思ったものの、機械としてはまるで欠点がない・・・。
敢えて言うなら、乗りやすくて軽くて速いところが欠点である、と言えるかもしれない。
つまり気立ても良くて可愛い女性が好きだとしても、わがままであったり、気まぐれな性格の(たとえてみれば猫のような?)女性に魅かれる男も多く存在するというところ。
実際、あまりにも静かで振動もないボディや、スロットルの素直すぎる反応に、物足りなさを感じる人は多いだろう。万人受けする、という最大の長所が最大の欠点になる。そういうと、なんて勝手な、と思われるかもしれないが。オートバイに限らず趣味の道具には、欠点があるからこそ、それが味となってより愉しさを増して、趣味に傾倒させるというところがある。機械として正しいことが全てではないのがオートバイという道具の面白いところだ。
とはいえ、大型バイクの入門機としては申し分ないマシンであり、少なくともタウンユースや峠を走ったりするような用途であれば、相当に習熟したライダーでも楽しめる奥深さを持つMT-07。
YAMAHAは、MTシリーズの“基本プラットフォームをベースにしたバリエーション展開の拡大”を狙っているが、BMWのR nineTや、ハーレーのSTREET750のように、カスタムベース車としての位置付けをしても面白いのではないか?
これだけ売れていれば、そして今後もますます売れていけば、市場にアフターパーツも多く出るだろう、そうなれば、日本のカスタムシーンを面白くする存在にもなっていけるのではないかと妄想するのである。