不世出の天才ギタリスト、わずか27歳で夭逝したジミ・ヘンドリックスの伝記映画。
全編で煙草とマリファナとLSDと音楽による、紫の煙が画面を覆う、目ではなく耳で観る作品

1960年代後半を駆け抜けた天才アーティスト”ジミヘン”

右利き用のギターを左右逆さまにして、右手で押弦し、左手で弦を弾く独特の奏法。
歯で弦を弾き、股間を誇示するようにギターをかき鳴らす。

1970年9月18日、若干27歳でこの世を去った非業の天才ギタリスト。わずか4年のキャリアでロックを変えた男。
ジミ・ヘンドリックス(日本ではジミヘンという呼称が根付いている)は、残念ながらリアルタイムでは知らない僕だ。僕が愛しているアーティストであるプリンスは、恐らくはJBことジェームズ・ブラウンと、このジミ・ヘンドリックスの影響をかなり強く受けていて、というよりも、そのパフォーマンスに彼ら二人のやり方をマッシュアップしている。だから僕にとっては、ジミヘンはプリンスの演奏を通して、こんな感じかなというように透けてみているくらいの印象でしかない。

画像: jimi-movie.com

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一人の女が不世出の天才を発掘する

そして、彼の才能を見出し、世に送り出したのが一人の女性であったことは僕は知らなかった。
ローリングストーンズのギタリスト キース・リチャーズの恋人リンダ・キースが、退屈しのぎに立ち寄ったバーで、演奏していたバンドの中でひときわ光る才能を見せていたジミを見出す。彼女は彼の才能にほれこみ、勝手に音楽業界のVIPたちにジミの演奏を見せる。
やがて、アニマルズのメンバー、チャス・チャンドラーがジミの才能を評価し、プロデュースするようになるのだ。
(ちなみにこのリンダを演ずるイモージェン・プーツは、ヤバいくらいに好みだ・・)

画像: ジミと、彼を見出すリンダ・キース jimi-movie.com

ジミと、彼を見出すリンダ・キース

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成功を目前したジミの姿で終わる

本作では、まずイギリスでスターダムにのし上がるジミが、ビートルズとの公演の大成功によって米国でもスターになるところまでが描かれる。
薬物中毒による事故死(自殺説もある)で、弱冠27歳でこの世を去る彼だが、そのシーンまでは描かれていない。

ストーリーそのものはそれほど面白くはない。退廃的で非社交的であるが、女癖が悪く、タバコや薬物依存のジミの、はかなげでいまにも破綻しそうな日常が、淡々と描かれているだけだ。

しかし、演奏シーンは圧巻だし、ロックスターはこうでなければ、というステレオタイプをあくまでストレートに表現しているという点で、恐ろしく生真面目な作品だと言えるだろう。

27歳というのは、数多くの有名ミュージシャンがこの世を去っている年齢で、ロック好きにはある種のマジックワードだ。(日本では尾崎豊もそうである)

余談だが、僕も28歳を迎えた時に「ああ、これで27クラブには入れないんだな」と感慨深く思ったことを覚えている。

『JIMI:栄光への軌跡』劇場予告編

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