前後片持ち方式・ハブセンターステアリングを採用。

ELF X 1978-1979
デ・コルタンツが手がけた最初の完成車で、フレームレス、前後片持ちスイングアームなどの構成が特徴です。 エンジンはヤマハTZ750を使用しております。1978年2月のパリショーで公開され、会場の話題を独占しました。

ELF Xのストリップ状態。2ストローク750cc・4気筒のヤマハTZ750エンジンの上に、4本のチャンバーが取りまわされる大胆なレイアウトに注目!
www.appeldephare.com
ELF e 1980-1983
ホンダとの協力関係が築かれたことにより、このELF e 以降のモト・エルフはホンダエンジンを採用するようになります。耐久選手権用に開発されたELF eは、鈴鹿8時間耐久にも参加し ました。1983年にレギュレーションが1,000ccから750ccへ変更されたことをうけて、エルフは次のステージである世界ロードレースGPに開発の場を移すことになりました。

ELF e のストリップ。4輪車のダブルウィッシュボーンを90度ひねったようなフロントの懸架方式がよくわかります。燃料タンクは車体底部にセット。エンジンはホンダRSCのRS1000用を搭載しています。
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ELF 2 1984-1985
デ・コルタンツが開発した最後のエルフとなったモデルです。エンジンをストレスメンバーとする設計を押し進め、過去のモデルにあったエンジンプレートは完全に排除されたのが特徴です。紆余曲折を経て、結局グランプリの実戦には参加しないで後継機種にバトンを渡しています。

1984年、ELF2にまたがるホンダの創業者、本田宗一郎とデ・コルタンツ(左)。なお本田宗一郎は、ELF e が1983年の鈴鹿8耐に参戦した時も、チームのピットを訪問して興味深げにデ・コルタンツの作品を眺めていました。
http://www.classic-motorrad.de/v25/images/cm2014/2014-hockenheim-classics/André_de_Cortance_198"ポスト・デ・コルタンツ"期のモト・エルフ
1985年 のフランスGPでデビューしたELF 2Aは、デ・コルタンツが開発したELF 2を改良したモデルで、前後のサスペンションなどに変更を受けていました。この後、セルジュ・ロゼとダン・トレマがモト・エルフの開発を担当することになります。トレマが設計した改良型、ELF 2Bはフロントツインスイングアームを踏襲しつつ、独立したフレームを採用したのが特徴でした (実戦投入せず)。そして1986年シーズン最終戦のイタリアGPの予選に出走したELF 2Cは、後継モデルのELF 3同様マクファーソン型フロントサスペンションを採用していました。

ELF 3 1986
エンジンはワークスホンダNS500を採用。シーズンを通し、英国人ライダーのロン・ハスラムがポイントを獲得することに成功しています。
ELF 3はいわば、デ・コルタンツがモト・エルフに描いた理想像をあえて放棄し、実戦でのリザルトを残すという実利を追い求めたモデルでした。ロゼとトレマが開発したモデルです。独立したフレームが与えられています。
www.honda.co.jpELF R 1986
1983年にレースの場から退役したELF eをベースに開発された、速度記録挑戦車です。イタリア・ナルドサーキッ トで6つの分野の世界速度記録の更新に成功しました。

ELF 4 1987
ELF 3の一定の成功をベースに、エンジンを新たにワークスホンダNSR500を搭載。強力なエンジンパワーに車体をマッチさせることに苦労し、シーズン半ばからの実戦投入となりました(ELF 4の登場まで、ハスラムはELFカラーのホンダNSR500をグランプリで走らせました)。

ELF 5 1988
モト・エルフ・プロジェクトの最終モデル。ワークスホンダNSR500エンジンを搭載。車重の軽減が大きな開発テーマであり、ふんだんにマグネシウム合金製パーツを採用していました。エンジンは1年型落ちでしたが、ハスラムが健闘し年間ランキング11位の座を獲得しました。
モト・エルフが残したもの・・・。
デ・コルタンツはレーシングカーデザイナーとして、ル・マン24時間やWRCで数々の実績を残しました。しかし、モト・エルフは2輪ロードレースの世界では成功をおさめた・・・とは言えないでしょう。後を継いだロゼとトレマの仕事は評価されるべきでしょうが、デ・コルタンツが描いた「新しいレーシング・モーターサイクルのシャシー」というイデアからは、乖離したものでした。
しかし、ホンダとのコラボレーションから生まれた片持ち式スイングアーム、「プロアーム」は多くのホンダ製量産モーターサイクルに採用されることになり、それら製品の商品性を高める役割を果たしました。また、素早いタイヤ交換がアドバンテージになる耐久レース用の、ホンダ製ファクトリーレーサーにも長年プロアームが採用されたことは周知のとおりです。

ホンダ製量産スポーツモデルの、プロアーム採用モデルにつけられたプレート。ホンダとELFの名前が並んでいます。
cdn.snsimg.carview.co.jp
1991年にピアッジオ傘下のジレラからデビューしたCX125(2ストローク単気筒125cc)に採用されているリアスイングアーム「モノアーム」もELFのパテントが使われていました。
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ジレラCX125は、フロントに「モノチューボ」というユニークな片持ちテレスコピックフォークを採用していたのも特徴です(こちらはELF関係ないですけど・・・)。設計者はビモータでも活躍したフェデリコ・マルティーニです。
3.bp.blogspot.comスポーツ・モーターサイクルシャシーの定番が、"テレスコピックフロントフォーク+アルミツインスパーフレーム+スイングアーム"となって久しいですが、そんな常識を覆すことにトライする挑戦者の登場に期待したいですね!