2018年3月15日:一部修正しました。
まずは、そのシンプルさに好印象。
ボルトの第一印象は、なんと言っても「シンプル」であること。余計な装飾を排し、走りの機能のみに装備を絞った造りは、ゴテゴテしたモデルが多い現行車のなかにあって、非常に新鮮なルックスに思えてきます。乾燥重量は247kg(ABS装着車は251kg)ですが、見た目のスッキリさが心に作用するのか、押し引きしていてもそんなに重いと感じない・・・フシギです(程よい低重心さ、そしてハンドル位置の絶妙さも、取り回しの良さに効いているのでしょう)。
身長175cmの私の場合、足つきは両足ベッタリ。街乗りの信号待ちでオットット・・・となることは皆無でした。ライディングポジションもそんなに大柄ではないので、小柄な方や女性ライダーにとってもボルトは扱いやすい大型車と言えます。
心地良いエンジンフィールと、クルージングの快適さ。
ナイトツーリングでの移動はもっぱら高速道路ふたり乗り・・・でしたが、ボルトでの高速道路のクルージングは快適のひとことでした。38kW(52PS)/5,500rpm、80N・m(8.2kgf・m)/3,000rpmというスペックのVツイン941ccエンジンは、中低速の加速感を重視してセッティングされたもの。中速域からの加速も十分なのでスロットルをひと捻りすれば、大型トラックなどのトラフィックをスイスイ追い越せます。
特に関心したのは、エンジンと音のフィーリングでした。2-1のエキゾーストはしっかり消音されつつも、鼓動感のある良い音質のサウンドを奏でます。ファイナルがベルトドライブ駆動なこともあり、不快さを覚えやすいメカニカルノイズが少なく、エキゾーストノートを心地良く聴くことができます。スロットル操作で思いのままにパワー・トルクを引き出せ、それにシンクロするようにサウンドを楽しめるクルージング性能は、ボルトの大きな魅力でしょう。
今回のツーリングでは本格的なワインディング走行もなく、常にタンデムライダーを載せてのライディングだったので、コーナリング性能を突き詰めて試す機会はなかったのですが、標準的な日本のワインディングをそこそこいいペースで走っても、ボルトは楽しいだろう・・・ということはわかりました。
スリムで小ぶりな燃料タンクゆえ、ニーグリップをすることはできないのですが、右足は張り出したエアクリーナーボックス、左足はリアバンクのシリンダーヘッドでホールドすることが可能です。アメリカン/クルーザーでありがちな、ニーグリップできないことの不安感・・・を覚えることはありませんでした。ホイールベースは1,570mmと、この手のモデルではショート寄りなこともあり、小さなRのコーナーや、市街地でのクイックな操作も苦になりません。ひと言でいえば、あらゆるシチュエーションで万人が扱いやすく、ライディングを楽しめる大型モーターサイクルといえるでしょう。
その質実剛健さが、クールに思えるキャラクター。
褒めてばかりなのもナンですので? 気になった点も少々・・・。まず、猛暑の季節の街乗りではエンジンの発熱がキツいな・・・と感じました。エンジンオイルを4.2ℓ使う空冷エンジンではありますが、スリムな燃料タンクは機関部から立ち上がる熱気を遮ることができないので、ダイレクトに乗り手にそれを感じさせるのです。交通が流れていれば気にならないのですが、真夏の信号待ちではその暑さに少し閉口しました(ハイパワー&大放熱量のモダン・スーパースポーツよりはマシ、ですか)。
ともあれ、総じてボルトは好印象でした。豪華絢爛さをモーターサイクルに求める人にはボルトのルックスは地味に思えるでしょうが、先述のとおり走りの機能に徹した造りによるシンプルさは、必要十分であることの美徳を感じさせます。着心地の良い服のように、いつ見に纏ってもリラックスできる・・・そんな良品感がボルトにはあります。
願わくば同社を代表するロングセラーの1台、SR400のようにボルトが熟成されていったら・・・なんてことを試乗後には考えていました。目を三角にして走るのではなく、心地よいエンジンフィール、そして加速感と操作感を楽しみながら走る・・・それがボルトというモデルのクールな魅力です。ボルトに興味を持った方は、ぜひともヤマハの特設サイトをご覧になってください。
BOLT Rスペック ABS 995,760円 [消費税8%含む](本体価格 922,000円)
BOLT Rスペック 945,000円 [消費税8%含む](本体価格 875,000円)
BOLT 899,640円 [消費税8%含む](本体価格 833,000円)