BAD LAND:川崎に拠点を持つハーレーダビッドソン専門のカスタムビルダー。
ロレンスで紹介している世界のカスタムビルダーたちには、自社の製品として自らベース車両を仕入れてコンプリートカスタムバイクとして販売するショップが多いが(ハーレーで言えば、日本ではロードホッパーが有名だ)、BAD LANDは顧客が持ち込んだ車両のカスタムに専念している。既に3年分のバックオーダーを抱えており(2015年7月現在)、非常にビジネスは好調だという。
カスタムの平均費用は500万円を超える。だから顧客はコアなハーレーファンであり、40代以上の比較的裕福な層が多くなる。マシンはどのモデルに執着する、ということはなく、顧客が持ち込むハーレーは分け隔てなくカスタムする。加工や塗装などに関する技術革新にも余念なく、常に新しい手法や素材の採用に貪欲な、非常に真面目なカスタムビルダーだ。
インターネットをフル活用して台頭したブランド
カスタムビルダーとしてのBAD LANDがなぜ高い評価を得ているか、その理由は彼らのカスタムハーレーを見れば一目瞭然だ。
しかし、技術やデザインだけなら同じようなスキルを持つショップは他にも多くある。
BAD LANDがユニークであり、際立っているのは、インターネットを巧みに活用したブランディングのうまさにある。通常であれば、ハーレーカスタム業者はハーレー専門誌などの紙媒体への広告への依存度が高いが、BAD LANDは自社Webサイトはもちろんのこと、Facebookページなどのソーシャルメディアをフル活用することで、世界的な知名度を獲得することに成功している。
「雑誌社とのおつきあいがうまくないだけですよ」と、社長のクワイ ケイイチ氏は笑う。
しかし、BAD LANDのFacebookページは日本語のみならず英語でも情報発信しており、なんと240万以上の「いいね!」数を集めている。有限会社のFacebookページとしては極めて異例の人気である。
クワイさんは言う。「現場はうちのスタッフに任せてあるので、僕がすることはインターネットで情報を拡散することだけですよ」
クワイさんは独学でHP製作ソフトなどの使い方を学び、Webサイトを立ち上げた。自分たちの製品の良さを知らしめるためには良い写真が必要であると気づくと、自らカメラを手に取り、やはり独学で使い方を習得するとともに、自社倉庫の奥に撮影スタジオまで設置する。非常な凝り性、であると同時にクリエイターとしての強いこだわりを持つ人なのだ。
今のインターネットはコンテンツマーケティング花盛りだ。良いコンテンツを製作し、ソーシャルメディアで拡散し、自社サイトに集積しておく。自社サイトはコンテンツの発信源であると同時にコンテナーである。その意味で自社は従前のWebサイト、もしくはホームページというような静的なものではなく、ニュースサイトのように毎日情報発信し、アップデートするメディアでなければならない。つまり、オウンドメディアとして設計し、ソーシャルメディアとの親和性を高めていかなければならない。
このコンテンツマーケティングとオウンドメディアの考え方を、クワイさんは正しく理解しているだけでなく、自分自身の手で実践している。
世界中の優れたカスタムビルダーには、同じような最新のネットマーケティングの手法を用いているところが多いが、なかなか日本国内にはいない。
BAD LANDは、その意味で非常にユニークで飛び抜けた存在なのである。
4名のエンジニアが黙々と作業を行う工場。職人の聖地だ。
BAD LANDは1階が工場。2階がクワイさんが働くオフィスになっている。
1階で製品が作られていく。そして2階で世界に向けて発信されているのである。
さらに、本社から車で数分の距離に倉庫があり、そこに顧客から預かる車両たちがエンジニアに触れてもらえる日を静かに待っている。
「倉庫もぜひ見てください。撮影スタジオもそこにあります」とクワイさんは車を回してくれた。
後編は、製品同様に高いクオリティで世界のカスタムファンを魅了する、数多くの写真がどうやって生まれていくかをレポートする。また、クワイさんの新しい野望についても紹介しよう。
【BAD LANDとは】
モーターサイクルの“究極”を貴方に。 100年以上の歴史を誇り、常にモーターサイクルの頂点に君臨し続けてきた、HARLEY-DAVIDSONその歴史は常にカスタムとともに進化してきた。 そして、どの時代もシーンを変えたカスタムマシンは常識にとらわれない勇気をもち、前へ進もうとする姿勢から生み出されてきた。今、カスタムハーレーのありかたが大きく変わろうとしている。始まりはヨーロッパのカスタムシーンからだった。太ければどこまでも太く、低ければどこまでも低く。かれらは常識にとらわれず、極限までハーレーの、ワイルドで力強い部分を表現した。 BAD LANDは創業以来、常に最新のユーロカスタムシーンと密接にコラボレーションし、既成概念に囚われない究極のカスタムハーレーをお客さまにご提供して参りました。 究極を知るあなたにこそ相応しいモーターサイクルをユーロカスタムの最高峰を知り尽くした当社がプロデュースいたします。 まずはお気軽にご相談ください。