1984年に公開され、世界中のSFファンを痺れさせた傑作『ターミネーター』。あまりの大ヒットにシリーズ化され、これまでに4本が公開されている。

基本的に『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』と同じプロットであり、人工知能が自我に目覚め、人類抹消に動き出し、それを妨げようとするヒーローたちの奮闘を描いている。
ハリウッドは人工知能が人類を諸悪の根源とみなす、というプロットが大好きだ。「アベンジャーズ」ではウルトロン、「ターミネーター」ではスカイネットという名前で活躍する人工知能たちこそが、最近のSF大作の影の主役と言っていいw。

「ターミネーター」では、人間側の抵抗軍がスカイネットとの戦争に最終的に勝利を収めるが、スカイネットが最後の切り札として、ターミネーター(人間の姿をした殺人ロボット)を過去の世界に送り込み、抵抗軍のリーダー ジョン・コナーが生まれるのを阻止するため、彼の母親となる女性サラ・コナーの暗殺を図る。そして、ジョン・コナーは母親を守るために抵抗軍の若き兵士カイル・リースを過去に送る。人類vsスカイネットの戦いは1984年に持ち越される、というストーリーだ。

僕は1984年に高田馬場の小さなシアターで「ターミネーター」第1作をみて以来、すべてのシリーズを観ており、根っからのファンであると自認している。とはいえ、第1作と2作は掛け値なしの傑作と思うものの、第3作(結局スカイネットの誕生を防げない)と第4作(スカイネットに蹂躙された未来の、人類の反撃を描いている)は、正直かなりレベルダウンしていると言わざるを得なかった。

今回の『ターミネーター:新起動/ジェネシス』は、前作までのシリーズの失速を回復させるため、すべてをリセットし、新たなシリーズ化への布石として製作された、まさしく”新起動”の一発なのである。

戦いの舞台は、1984年から2017年に。

第1作のファンにとっては、「ターミネーター」のヒーローはジョン・コナー(姿さえ出てこない)ではなく、過去に送り込まれた兵士カイル・リースだ。
男性も女性も、身に寸鉄も帯びずに過去にタイムスリップさせられたカイルの悲壮な決意と勇気に痺れた。危険を顧みず、自分を必死に守ろうとするカイルにサラは恋をするが、それも当たり前のことだと誰もが思った。

そして、今回の『ターミネーター:新起動/ジェネシス』でも、再びカイルが脚光を浴びる。すべてのストーリーや設定がリセットされ、新しい時間軸へと移動し、カイルとサラの戦いは2017年へとタイムスリップしているのだ。

その世界では、サラは何者かが送り込んだ旧型のターミネーター「T-800」に守られながら、逞しい女兵士として成長していたし、カイルこそがジョン・コナーの父親となることを彼女は事前に知っていた。カイルがタイムスリップする以前にジョン・コナーから聞かされていた世界とは、異なる世界がカイルを待っていたのだ。

そして、過去の世界に送り込まれたカイルは、サラを守る、というミッションよりも、スカイネットの誕生をストップする、いわば自分たち自身が救世主としての戦いに挑むことになる。
つまり、戦いの舞台は1987年から2017年に。救世主はジョン・コナーからカイルとサラに。そして、カイルのミッションはサラを守ることから、サラとともに戦う、というリセットが、この『ターミネーター:新起動/ジェネシス』なのだ。

画像: ”新しい”ジョン・コナー www.terminator-movie.jp

”新しい”ジョン・コナー

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画像: ”新しい”カイル・リース www.terminator-movie.jp

”新しい”カイル・リース

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画像: ”新しい”サラ・コナー www.terminator-movie.jp

”新しい”サラ・コナー

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画像: ”古いがポンコツではない”ターミネーター www.terminator-movie.jp

”古いがポンコツではない”ターミネーター

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新たな伝説の始まり。観て損なし!

映画を観ればわかるが、タイトルのジェネシスとは、邦題として添えられた”新起動”という意味ではなく、2017年に世界中のありとあらゆる電子機器にインストールされ、接続されているOSの名称だ。ジェネシスが進化することで、やがてスカイネットとして生まれ変わる。

ジェネシスが完全に進化を果たし、スカイネットへと変貌するのをストップし、”審判の日”の到来を妨げようとするカイルとサラ。そしてその二人を守り、敵のターミネーターと戦うのがアーノルド・シュワルツェネッガー扮する旧型ターミネーターT-800だ。
ちなみに、なぜターミネーターであるT-800の姿が老いているのか、というと、外装の皮膚は人間同様に経年劣化するように設計されているためという。さすがのターミネーターファンの僕も知らなかった事実が今回明らかになったw。

画像: サラを守るようにプログラムされたT-800だが、最後には「"俺の"サラを守ってくれ」とカイルに頼むほど、愛情とも言える感情を持つようになる。二人の親子にも似た関係は、なかなかに感動的だ。 www.terminator-movie.jp

サラを守るようにプログラムされたT-800だが、最後には「"俺の"サラを守ってくれ」とカイルに頼むほど、愛情とも言える感情を持つようになる。二人の親子にも似た関係は、なかなかに感動的だ。

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第1作では、カイルはサラと結ばれ、サラは二人の子(ジョン・コナー)を身に宿す。そしてカイルはサラを守って命を落とすことになるが、今回は果たしてどのような結末を迎えるのか。
そして、二人とT-800はスカイネット誕生を妨げることはできるのか??

それはご覧になってのお楽しみだ。

どうやら次回作の製作も既定路線になっているようだが、決して最初から続編ありきの作りではない。これまでのシリーズの第5作、ではなく、新しい「ターミネーター」シリーズの第1作として”発動”した本作、ぜひ観て欲しい。

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