心を病んだ天才が奏でる音楽は、大衆にとっては不協和音であったのか
主人公フランクは、音楽の優れた才能を持っている。
しかし、その才能はわかる人にしかわからない。
そして、彼は心に闇を抱えていて、幼少時から無表情なマスクをかぶったまま暮らしている。
そんなフランクに魅せられたバンドメンバー達もまた、どこか病んでいる。彼らは田舎の森の中の家に”リスのように”閉じこもって、レコーディングをしているが、いつになったら完成するか、彼ら自身もわかっていない。
そこに大きな成功を普通に求める、普通の青年がキーボードとしてバンドに加わったことから、物語は急展開を見せる。
青年はTwitterに日々の気分を書き込み、YouTubeにレコーディング風景をアップする。それがきっかけで彼らはSXSWに招かれる。SXSW=サウスバイサウスウェストとは、テキサス州オースティンで毎年開催されるテクノロジーと音楽の祭典であり、TwitterもまたこのSXSWでプレゼンしたことから有名になった。
ところが、世俗の成功とバンドが求めている”なにか”は違っており、思ってみなかった悲劇がメンバーを襲うことになるのだ。
良い映画?悪い映画ではない。
本作はイギリス映画なのだが、結局なにがいいたいのか、よく分からない。
フランクは異常人だが、危険ではない。面を四六時中外せないというメンタル上の問題があるが、ユーモアもあるし、他人を気遣う優しさもある。
その他のバンドのメンバーも社会性がなく、どことなく狂っている。彼らがなぜ音楽をやっていて、どこを目指しているのかも分からない。メンバーの一人はレコーディングが完了した翌朝に自殺してしまうし。
多分意味はないのだろう。
そこはかとない寂しさと、それと同じような可笑しみが漂う映画で、わけわからないが後味は悪くはない。案外、人間はみなそんな感じかもな、と思ったりする。
映画館で見るよりも、DVDでビールを飲みながらみた方がいい映画だ。
小首をかしげながら、ま、いいか、と笑って4本目のビールを飲む。それでいい、そう思う。