今では多くの女性がモータースポーツの分野でご活躍してますが、昔・・・1960年代は完全に「男だけの世界」というカンジでした。言うまでもなく、モータースポーツには危険が伴います。そんなワイルドな世界に女の人が挑むのは・・・。女性の社会進出がまだ発展途上だった時代に、そんな「空気」が一般的だったのは容易に想像がつきます。
1962年のマン島TTは、新たに50ccクラスがスタートしました。戦後、小型車の高性能化、そしてモペッドの世界市場での人気のたかまりにより、この最小のロードレースクラスが創設されたわけです。
初年度の世界ロードレースGP50ccクラスを制したのは日本のスズキでしたが、今も昔も変わりなくTTの舞台ではファクトリーのトップレベルの争いのほか、プライベーターたちの戦いも繰り広げられていました。当時20代半ばだったベリル・スゥエインもそのひとりで、イタリアの2ストローク単気筒50ccのイトムに乗りマン島TTに参戦。その記録は22位というものでしたが、マン島TT初の女性完走者として彼女は歴史にその名を刻むことになります。
モーターサイクルショップを営むエドウィンと1958年に結婚したベリルは、このマン島TT挑戦以外にも、英国内のショートサーキットでのレースに参加していました。レーサーとしての活動期間はそう長くはなかったですが、女性にロードーレースの門戸を開いた存在といえる彼女の偉業を讃えたいです。なおベリルは2007年に71歳でお亡くなりになっています。
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