伝説のモーターサイクル

みなさんは映画『アラビアのロレンス』をご覧になったことがありますか? 主人公のT.E.ロレンスが映画のファーストシーンで、颯爽と走らせているモーターサイクルが、英国のブラフ・シューペリアです。ロールスロイス社から「モーターサイクルのロールスロイス」を名乗ることを許された、高級モーターサイクルメーカーとしてのブラフ・シューペリアの活動は、1919〜1940年という短い期間に留まりました。

画像1: ロレンスゆかりのクラシック、ブラフ・シューペリアSS100

ブラフ・シューペリア製モーターサイクルは、20年ちょっとで3,000台余りが生産されましたが、1台1台が手作りという凝った製品であり、いずれも顧客の要望に応じたオーダーメイドで生み出された作品でした。また世界最速を競う速度記録でもブラフ・シューペリアは活躍し、1924年、1929年、1937年に世界最速車の座に就いています(1937年の記録は273.244km/h!!)。

ブラフ・シューペリアの芸術品のような造り込み、そしてその高性能に魅せられたライダーは多かったですが、非常に高価なブラフ・シューペリアは万人の手に入るモデルではありませんでした。T.E.ロレンスはブラフ・シューペリアのオーナーとなれた、幸運なライダーのひとりだったわけです。ロレンスはブラフ・シューペリア代表のジョージ・ブラフと仲が良く、所有した全てのブラフ・シューペリアに「ジョージ」という名を与えています。

画像2: ロレンスゆかりのクラシック、ブラフ・シューペリアSS100

この写真はブラフ・シューペリアを代表するモデルである、SS100・・・ジョージⅤ(RK4907)に跨るロレンスの姿です。1925年(1926年という説もあり)、ロレンスは4台目のブラフシューペリアとして初めてSS100を所有。ジョージⅣと名付けられたこの1台から、最後の1台となる7台目まで彼はSS100を愛用しました。なお車名の100は、このモデルが時速100マイル=約160km/hをマークできる高性能を誇らしげに顕示するものです。

ロレンス最後のブラフ・シューペリアであるジョージⅦ(GW2275)の「運命の日」は、1935年5月におとずれました。映画で描かれたあのシーンのように、路上で自転車を避けようとしたロレンスは激しく転倒。事故から6日後の5月13日、こよなくモーターサイクルを愛した男であるロレンスは脳挫傷によりこの世を去ることになります。じつは彼は8台目のブラフ・シューペリアを注文済みでしたが、その1台が彼の手元に届けられることはなくなったのです・・・。

伝説のモーターサイクルであるブラフ・シューペリアSS100は、今日のオークションで28万6000英ポンド(約5190万円!)という高額な値がつくほどのレアモデルとして、その評価が固定化されております。ロレンスとブラフ・シューペリアの伝説にあこがれる我々庶民は、こちらのムービーでロレンスがSS100の車上で見た風景に、想いを馳せるのがちょうど良いのかもしれませんね?

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.