海外では「eスクーター」と呼ばれている電動キックボードですが、8月13日にオーストラリアのメルボルン市の議会は、電動キックボードを禁止することを議決しました!! 2022年2月から電動キックボードの事業展開を試験運用してきた同市ですが、多くの事故が起きたことにより市民の反発が高まったことが、禁止の議決の背景にはありました・・・。

2つの事業者に、30日以内に電動キックボードを撤去することを命じました・・・

英国を代表するメディア、BBCの報道によると、電動キックボードには許容できない危険性があるということで、メルボルン市議会が多数決で電動キックボードを禁止することを8月13日に決めました。同市ではライムとニューロンの2社が、電動キックボードレンタル事業を展開していますが、2社には30日以内に電動キックボードを撤去することが命じられています。

豪メルボルンで電動キックボードレンタル事業を展開する、2社のうちの1社がニューロンです。同社は豪のほか、カナダ、ニュージーランド、英国で事業を展開しています。

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メルボルンのニコラス リース市長は地元ラジオ局に対し、「歩道を走る人が多すぎる。きちんと駐車していない。紙吹雪のように、ゴミのように、街中に散らばっていて、つまずく危険性があります」とコメントし、一部の電動スクーター利用者の悪行ぶりに「うんざりしている」ことを明かしました。

メルボルンは歩道以外を走れる、最高速26km/hのレンタル電動キックボードを認可していましたが、その運用期間はわずか約2年で終わることになりました。リース市長は昨年9月に電動キックボードレンタル事業を禁止したフランスのパリを例にあげ、「パリのオプションをコピーしたい」とも述べています。

当然? 事業者側はこの議決に対し反対を表明しましたが・・・

2022年2月の試験運用開始以来、ライムとニューロンのレンタル電動キックボードは約1,500台がメルボルン市内全域に配置されることになりました。以前メルボルン市議会は電動キックボードのおかげで、炭素排出量400トンが削減されたこと、公共交通機関利用が促進されたことを報告していましたが、そのメリットよりもデメリットを重視して禁止を決めたわけです。デメリットとは、看過できない利用者の死亡または怪我の増加でした。

市内の主要病院のひとつであるロイヤル・メルボルン病院は2023年12月に報告書を発表し、2022年に250人近いスクーター乗りが負傷して救急外来を受診したことを明らかにした。その大半は、酩酊状態、スピード違反、ヘルメット未着用などの要因によるものだった。

レンタル事業者である2社とメルボルン市の間には6ヶ月の運用契約が残っており、当然2社は今回の議決に対し反対を表明しています。この後、議決どおりにことが進むことになるのか、注目したいです。

メルボルンでレンタル事業を展開するライムは、アメリカ、英国、アイルランド、ニュージーランド、カナダ、ドイツ、オーストリア、スイス、フランス、ベネルクス三国、イスラエル、そして南米、中東、南欧、東欧の諸国と、幅広く活動している斯界の大手です。

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日本でも、電動キックボードの交通違反は半年で4倍に増加していますが・・・

NHKの今年1月の報道によると、2023年7月から運転免許なしで乗ることができるようになった電動キックボードの利用者の、交通違反は先月1879件と半年間で4倍以上に急増していているとのことです。

国内で電動キックボードのシェアリング事業を展開するLUUP。同社の電動キックボードの姿を路上で見ることは、大都市圏では珍しいことではなくなりました。

luup.sc

警察庁によりますと、改正法の施行から先月末までの半年間に、電動キックボードの利用者が交通違反で摘発されたケースは全国で7130件にのぼりました。
▽速度を抑えたモードに切り替えないまま、歩道に進入するなどの「通行区分違反」が3440件と最も多く
次いで
▽信号無視が2685件
▽一時不停止が463件だったほか
▽酒気帯び運転が37件あったということです

同報道によると人身事故の発生件数は85件で、幸い死亡者はいないものの5件は重傷事故だったことが報道されています(※この報道の後、今年2月以降に特定小型原付の電動キックボードの死亡事故報告例はあります)。去年7月の改正道路交通法施行の前より、多くの人が電動キックボード利用者が増えることの害を心配していたのは記憶に新しいですが、これら数字を見て心配したとおりと考えるか、心配したほどではないと考えるかは、人ぞれぞれでしょう。

普及によって数が増えれば事故件数が増加するのも、ある意味それは自明の理といえるでしょう。電動キックボード利用者の多くのモラル、そして他の交通手段を利用する人々の、電動キックボードという乗り物に対する理解と認識が向上することで、今後事故が減っていくことを願いたいですね。