年末の恒例企画、Lawrenceが独断と偏見? で選んだ、2025年の2輪業界にまつわる10大ニュース(順不同)。最後はかなりパーソナルな話ですが、2015年創刊のLawrence(ロレンス)創業者である小川浩(株式会社リボルバー代表取締役)が2025年4月13日、病気療養中のところ永眠いたしました(享年60歳)。

10年前の創刊期は、お互い苦労しましたね・・・

今から約10年前、2015年2月にWebメディアとしてLawrenceは創刊しました。2012年創設のWebテクノロジー企業である(株)リボルバーのファウンダー兼CEOである小川さんが、どうして2輪車の話をメインに扱う自社メディアとしてのLawrenceを立ち上げようと思ったのかは、実のところしっかり聞かせてもらった覚えが私にはありません(私が忘れているだけ?)。

ただ立ち上げ当時の小川さんとのやりとりを思い出すと、小川さんがバイク好きだから、バイクを扱うメディアをやりたい、そして既存のものとは違うものを・・・という、シンプルなWebとバイクへの愛情がその動機だったといえるでしょう。なおLawrence立ち上げに際し、当時リボルバーには本格的な2輪コンテンツ作れる人がいないから・・・ということで、私は請われて参画した次第でした。

小川浩。1996年にマレーシアのクアラルンプール、シンガポール、香港を拠点として起業、PCネット通販事業や多言語SNS事業を手がける。2012年7月にサイバーエージェント・ベンチャーズの支援のもと、株式会社リボルバーを設立。著書に『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』など多数。

revolver.co.jp

1990年から2輪雑誌メディアで仕事をしていた私のキャリアが頼られたわけですが、最初の1年間は大変苦労したことを昨日のことのように覚えています(苦笑)。Webメディアの専門家ではあるものの、リボルバーの諸氏は2輪メディアの初心者。「業界のしきたり」的なことは2輪業界初心者ゆえわからないので、クライアントや読者の皆さんの間の軋轢的なものも色々生じたものでした。そしてその始末はもっぱら、そのへんの機微がわかっている(ハズ?)の私に委ねられることになりました・・・。

ただありがたいことに、「ヘンな2輪メディア」としてのLawrenceの認知度は急速に広まり、創刊8ヶ月の2015年10月には月間200万PVを突破。私が寄稿者として出入りしていた(株)モーターマガジン社側もLawrenceに関心を示し、2016年1月には両社の事業提携がスタート。同年6月には(株)ゴルフダイジェスト社を加えた3社による、デジタルコンテンツを制作し配信するメディア事業母体として(株)MGロレンスが新設立されます。そしてLawrenceはMGロレンスに譲渡されることになりました。

画像: 2015年10月当時の、Lawrenceのコンテンツ構成グラフ。なお「グラビア」をもっぱら担ったのは、伝説の連載企画「ヘルメット女子」でした。

2015年10月当時の、Lawrenceのコンテンツ構成グラフ。なお「グラビア」をもっぱら担ったのは、伝説の連載企画「ヘルメット女子」でした。

Lawrenceでの10年間、ありがとうございました

その後2回のリニューアルを経てLawrenceは現在に至るわけですが、小川さん亡き今、創刊時からLaerenceに寄稿を続けるのは私ひとりだけになってしまいました。

画像: 創刊時はLawrence編集部で、ちょくちょくツーリングに出かけたものです。向かって一番右は、小川さんの愛車のカワサキ750RS(Z2)です。生前の小川さんはLawrenceのコンテンツとして、Z2への愛を語る寄稿をたびたびしていました・・・。 lrnc.cc

創刊時はLawrence編集部で、ちょくちょくツーリングに出かけたものです。向かって一番右は、小川さんの愛車のカワサキ750RS(Z2)です。生前の小川さんはLawrenceのコンテンツとして、Z2への愛を語る寄稿をたびたびしていました・・・。

lrnc.cc

ご遺族の方によると、病床に伏せても小川さんはいろいろやりたいことをいつも話されていたそうです。残念ながら遺言的な言葉として、Lawrenceに関して小川さんがこれから何をしたかったのかを直接聞く機会を私は逸してしまいました。

クルマやモーターサイクルなどのプロダクトそのものについてだけではなく、そうしたプロダクトがもたらす深い満足感や充足感、そしてそれらが我々の生活そのものに与える精神的な変化を、コンテンツにしたいと考えました。

これは2016年当時のLawrenceのメディアガイドに記された小川さんの文章の抜粋ですが、ここに小川さんがLawrenceでやりたかったことが、端的に凝縮されている気がします。私がそれをできるかわかりませんが、私はしばらくこの世でそれを試みてみようと思います。それがせめてもの私からの手向けになれば・・・。さようなら小川さん、そしてありがとうございました。

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