2015年、中国企業にセグウェイは買収されています
多くの人は、セグウェイといえば2001年に発表されたディーン ケーメンが発明した「セグウェイHT」(のちにPT)をイメージするでしょう。並行配置の2つのホイールの間に人間が立ち乗りする、ひとりの人間を運ぶトランスポーターとして生み出された、じつに画期的な乗り物でした。
2009年にセグウェイは英国の実業家であるジミ ヘゼルデンに買収されますが、そのヘゼルデンは翌2010年、なんとセグウェイPT乗車中に転落死。そして2015年には中国のスタートアップであるナインボットに買収され、セグウェイ-ナインボットとして再スタートすることになりました。
「ひとりの人間を運ぶトランスポーター」という役割は、現在世界中でもっぱら電動キックボード(Eスクーター)が担うようになっていますが、ナインボットもその潮流にのって2020年6月にはセグウェイPTの製造終了を発表し、主力製品は電動キックボードや電動スクーターに移行しています。
なんとも、盛り上がりに欠ける今年のM1000ですけど・・・
2021年に立ち上げられたSGI=サウジ・グリーン・イニシアチブは、2030年までに電力の50%を再生可能エネルギーに転換し、2050年までには炭素排出ネットゼロにすることを目標にしています。そんな石油依存経済からの転換を図るサウジアラビアを舞台にするダカールラリーは、ロー&ゼロエミッションモデルを対象とするM1000クラスを設けています。
昨年度のM1000クラスには、電気、水素、またはクリーンエネルギーのハイブリッド駆動の車両が合計10台参加。日本からは技術研究組合水素小型モビリティ・エンジン研究組合(HySE: Hydrogen Small mobility & Engine technology)が参戦したことを、ご記憶の方も多いと思います。
昨年度の10台の内訳はバイク6台、4輪車3台、トラック1台でした。今年度はもっとエントリーが増えるのかな? と予想していたのですが、フタを開けてみるとバイク3台、4輪車1台、トラック1台・・・と前年度から半減の5台というさみしい状況でした。M1000でダカール首位の栄光をゲットしたい方は、来年がチャンスかもしれませんよ?(苦笑)。
3台のバイク・・・電動ラリーマシンはいずれもセグウェイからのエントリーです。ライダーはアルゼンチン人のベンジャミン パスカル、そして杨洁と许健豪という中国人たちです。いずれもラリーレイド界の大物!! というわけではありませんが、彼らがどれだけのパフォーマンスを披露するのか楽しみです。
気になるのはセグウェイの参戦目的が何なのか? です。知名度の高いダカールラリーに参戦することで得られるプロモーション効果なのか? それとも将来的には電動モーターサイクルをラインアップに加えることの布石なのか? はたまた過酷なイベントでの電動技術の研鑽なのか・・・?
ともあれ、無事に完走すればM1000バイク部門はセグウェイ(のライダーの誰かが)優勝!! ということになります。今年のダカールラリーは1月3日から17日の間で競われますが、彼ら3人が無事ゴールすることを期待しています。