多くの人を驚かせた、CAKEの破産でした・・・
2022年秋には、高機能スポーツウェアメーカーの株式会社ゴールドウインと組んで、日本での販売を開始するアナウンスが話題になったCAKEですが、資金繰りの問題が今年のはじめに表面化。残念ながら2月には破産の憂き目にあってしまいました・・・。
スカンジナビアデザインらしい、ミニマリズムと機能性を追求した設計を持つCAKEの電動バイク群は、バイク業界だけでなくデザイン業界やテック業界の人たちからも大いに注目されていたため、CAKEの破産を悲しむ声は多方面から聞こえてきました。
CAKEの知財は、ノルウェーの自動車小売業者であるブラーゲス ホールディングASが取得。今年6月にはCAKEを収益性の高い企業へと改善させつつ、すでに生産済みのCAKEブランド電動バイク販売を再開。また既に世界中で販売された、6,000台以上のCAKE製2輪EVを維持するため「CAKESERVICE.CO」という会社も設立されています(パーツ供給する対象モデルはマッカ、オサ、カルク)。
群雄割拠の時代に、生き残るのは大変なことなのですね・・・
イタリアの電動車メーカーのエネルジカは、2019年から2022年の間に電動車のロードレースシリーズであるMotoEに車両を提供したことでモータースポーツファンにもお馴染みの存在でした。2022年3月にはグローバル企業「アイデアノミクス」がエネルジカを買収。その傘下に入ることで資金的なバックアップを得たと思われたのですが・・・なんと2024年10月には破産法に基づく清算手続きを進めることになってしまったのです。
2004年に中国・北京で設立されたアイデアノミクスは、プロレスファンにはおなじみ? のWWE創設者ヴィンス マクマホンの息子であるシェーン マクマホンが会長をつとめ、本社を米ニューヨークに移転した2018年ころから、EV業界のビジネスに力を入れるようになりました。
2021〜2023年の間、アイデアノミクスはエネルジカの他にも、電動商用トラックメーカーのビア モータースや電動トラクター販売を手がけるソレクトラックを買収。それら買収資金は3億2,000万ドルにもおよびましたが、結局ビア モータースの経営に現金を使い果たしてしまったため、3つの事業はいずれも破産する羽目になってしまったわけです・・・。
エネルジカとしては組んだ相手が悪かったわけですが・・・。ともあれその後、エネルジカの清算申請は裁判所に受理され、会社の売却プロセス開始が認められました。エネルジカの資産は公開入札で売却されることになり、来年1〜2月には売却が完了すると思われます。
第二次世界大戦後の1950年代の日本は、100社をゆうに超える数の2輪メーカーが各地に乱立していました。その後、そのほとんどは淘汰され、現在の4メーカーが今日まで生き残ったわけですが、何事も黎明期には混乱がつきもので、2輪EV普及期がはじまったばかりの今の時代、ベンチャー各社は生き残りのためのつらい戦いを強いられているといえるでしょう。
ICE(内燃機関)搭載車の生産で安定した収益を得ている大メーカーと異なり、電動車という「一本槍」だけでビジネスを維持しないといけない2輪EVベンチャーはいろいろキツイと思いますが、その志の高さを守りつつ、なんとか多くの会社が生き残りを果たしてほしいですね。