2013年に創設された中国のダヴィンチモーターは、2017年7月に初の完成車となる「DC100」を生み出しました。そして昨秋の伊・EICMA2022の記者会見の場で、このDC100でEU市場に進出する計画を発表しました。それにしても・・・このDC100の奇抜なスタイリングは、見る者すべてを驚かせるのではないでしょうか? なおその開発には、現在アジア圏No.1大学との誉れも高い、清華大学が協力しています。

THE世界大学ランキングでアジア首位の、清華大学と共同で開発されたDC100!!

英国の高等教育専門誌であるTHE(タイムズ ハイヤー エデュケーション)は、毎年THE世界大学ランキングを発表しています。これは教育力30%、研究力30%、引用数30%、国際性7.5%、そして産業界からの収入2.5%の配分で評価し、世界の大学に順位付けするランキングです。

世界大学ランキングはTHEだけでなく、いろいろな組織・機関が公表しているものですが、THE世界大学ランキングは英国の大学評価機関であるQS(クアクアレリ シモンズ)とともに最も知名度の高いランキングといえ、大学の評価を語る際に利用されています。

気になる? 最新ランキング(2023年版)で、アジア勢首位となったのは16位の清華大学でした。中国を代表する大学のひとつである清華大学は2011年版は58位でしたが、2018年版には30位、そして2021年版では20位タイにまで大躍進。見事、アジア圏初のトップ20入りを達成しました。

2022年版では、同じ中国の北京大学とともに16位タイ。2023年版で北京大学が一歩後退して17位になったのに対し、清華大学は16位の座を守り切りました(ちなみに日本勢の首位は、39位の東京大学でした)。清華大学のTHE世界大学ランキングにおける躍進の背景には、理工系研究に重きを置き、そして産学連携を手広く行っていることがあります。また論文の引用数がグーンと上がっていることも、評価にプラスとして大きく作用しています。

画像: ダヴィンチモーターのDC100は、0〜100km/h加速3秒台、最高速200km/h、最高出力100kW(135HP)、最大トルク850Nm、そして航続距離400km(NEDC値。WLTP値では357km)という、高性能電動モデルです。 global.davincimotor.com

ダヴィンチモーターのDC100は、0〜100km/h加速3秒台、最高速200km/h、最高出力100kW(135HP)、最大トルク850Nm、そして航続距離400km(NEDC値。WLTP値では357km)という、高性能電動モデルです。

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2013年に設立されたダヴィンチモーターは、7年間にわたり清華大学と共同で電動バイク開発を進め、2021年7月17日に初の完成車を作り上げました。そして約1年後の2022年8月7日には、山東省の淄博(しはく)市に同社初の生産プラントを作り上げ、DC100の試験生産を開始しています。

電動バイクの長所・・・電子制御の可能性を突き詰めたDC100!

DC100は最高速200km/h、そして航続距離400kmと、多くのスポーツバイクファンが満足するであろうスペックを有しています(ハンドリングについてはどうか、は不明ですが)。車体については、巨大な長方形ボックス型のバッテリーを、車体のストレスメンバーとして活用しているのが最大の特徴です。

画像: 非常に大きな17.7kWhバッテリーを中央に配置するDC100。DC(直流)急速充電を使うことで、わずか30分で充電できるというのも、いかにDC100が実用性に重きを置いているかがわかります。 global.davincimotor.com

非常に大きな17.7kWhバッテリーを中央に配置するDC100。DC(直流)急速充電を使うことで、わずか30分で充電できるというのも、いかにDC100が実用性に重きを置いているかがわかります。

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巨大なバッテリーを搭載することによるスタイリング作りへの制約・・・という課題は、世界の多くの電動車メーカーの頭を悩ませています。ダヴィンチモーターは大胆? にも、バッテリーをすっぽり覆う外装を採用。DC100の唯一無二の存在感は、この特徴的な外装が醸し出しているといえましょう。

画像: フロントエンドは、ビチューボ製の倒立フォークとブレンボ製330mm径ディスクブレーキの組み合わせ。なおフロントタイヤには、ピレリ・ディアブロの120/70-17を装着しています。 lulop.com

フロントエンドは、ビチューボ製の倒立フォークとブレンボ製330mm径ディスクブレーキの組み合わせ。なおフロントタイヤには、ピレリ・ディアブロの120/70-17を装着しています。

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画像: DC100は片持ち式スイングアームを採用。リアタイヤもピレリ・ディアブロ(240/45-17)を採用しています。 global.davincimotor.com

DC100は片持ち式スイングアームを採用。リアタイヤもピレリ・ディアブロ(240/45-17)を採用しています。

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ダヴィンチモーターはDC100は「2輪ロボット」である!! とうたっていますが、それはDC100が周囲の環境を理解し、収集した情報によって最適化したライディング体験を乗り手に提供できる・・・というその電子制御の高性能ぶりを指しての表現です。

DC100には1,000以上のチップ、そして200以上のセンサーが搭載されており、周囲環境、車両移動状況、道路状況、バッテリーおよびモーターの温度、バンク角を常時正確に把握。そして得たこれらデータの組み合わせから、より安全で快適なライディングができるように乗り手をアシストしてくれるとのことです。

画像: 急発進を抑制するライドアシスト(ドライブモード選択時)、坂道発進時のヒル-スタートアシストコントロール、急な下り坂で作動するヒルディセントコントロール、駐車時に役立つリバースアシスト、急制動時に作動し最適な制動力配分を行うコンバインドブレーキシステム、そしてトラクションコントロールなど、さまざまなライダーエイド機能がDC100には盛り込まれています。 global.davincimotor.com

急発進を抑制するライドアシスト(ドライブモード選択時)、坂道発進時のヒル-スタートアシストコントロール、急な下り坂で作動するヒルディセントコントロール、駐車時に役立つリバースアシスト、急制動時に作動し最適な制動力配分を行うコンバインドブレーキシステム、そしてトラクションコントロールなど、さまざまなライダーエイド機能がDC100には盛り込まれています。

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画像: DC100には標準装備としてのメーターは備わっておらず、スマートフォンをそのままメーターとして使う設計になっています。なおFOTA(ファームウェア オーバー ジ エア)技術に対応することで、リモートかつシームレスにシステムのアップグレードが行え、常に車両を最新状態に保ちます。 global.davincimotor.com

DC100には標準装備としてのメーターは備わっておらず、スマートフォンをそのままメーターとして使う設計になっています。なおFOTA(ファームウェア オーバー ジ エア)技術に対応することで、リモートかつシームレスにシステムのアップグレードが行え、常に車両を最新状態に保ちます。

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現状でも最新電子制御技術てんこ盛りのDC100ですが、6軸IMUを利用したセルフバランシング(自律)機能、自動駐車などを可能とするリモートコントロール機能、EPS(電動パワーステアリング)やセンサーを使っての自動運転や歩行者追従など、さまざまな新機能を将来的に導入することを予告しています!

またダヴィンチモーターは新機能を開発・共有する目的で、認証されたソフトウェア開発者を対象にAPI(アプリケーション プログラミング インターフェイス)を公開する予定とのこと! オープンソースプラットフォームという試みは、製品化された電動バイクの世界では非常に珍しいことと思いますが、その発展が非常に興味深いですね。

有名な発明家の名を使う企業として、4輪のテスラに続いて成功をおさめるか!?

画像: こちらはまだ販売されていない、ネイキッド版の「DCクラシック」の姿です。一般にスタイリングの評価については、コンサバティブな傾向があるライダーという人種を考えると、こちらの完全手作りで生産される予定というDCクラシックの方が、DC100よりスンナリと受け入れられそうな気がします?? global.davincimotor.com

こちらはまだ販売されていない、ネイキッド版の「DCクラシック」の姿です。一般にスタイリングの評価については、コンサバティブな傾向があるライダーという人種を考えると、こちらの完全手作りで生産される予定というDCクラシックの方が、DC100よりスンナリと受け入れられそうな気がします??

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DC100の予定価格は2万7,500ドル≒358万5,000円とのことですが、どれだけのオーダーが集まるのか・・・。非常に気になりますね! 4輪のEVの世界では、超メジャーな「テスラ」のほかに「ニコラ」、「エジソン フューチャー」、「ファラデー フューチャー」など、偉大な発明家の名を企業名に用いた例が存在します。

言わずもがなダヴィンチモーターも、その例のひとつになるわけですが、果たして彼らは4輪業界でその地位を確かなものにしている「テスラ」のように、2輪EVのメジャーブランドに成長することができるのでしょうか・・・? ともあれ、DC100の本格デビュー後の評判とともに、今後のダヴィンチモーターの動向を追っていきたいと思います。

ダヴィンチモーター DC100 主要諸元
■寸法・重量 全長 2,200mm 全幅 740mm 全高 1,100mm シート高 795〜815mm ホイールベース 1,546mm 車重 255kg
■モーター 最高出力 100kW 最大トルク 850Nm バッテリー 17.7kWh三元リチウムイオンバッテリー 制御 シリコンカーバイドインバーター
■車体 サスペンション 前 テレスコピック(ビチューボRCH02)後 スイングアーム(ビチューボXZE21V2)タイヤサイズ 前 120/70 R17 後 240/45 R17(前後ともにピレリ ディアブロ ロッソⅢ)
■価格 2万7,500ドル≒358万5,000円

画像: Meet the DC100 youtu.be

Meet the DC100

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