※これまでの日本における、電動キックボード規制緩和の流れについては、こちらの記事をご参照ください。
最高速度は20km/h以下、6km/h以下に速度制御できれば歩道も走行可能!!
特定小型原付き自転車・・・という新しい分類
世界では「Eスクーター」の名で普及している「電動キックボード」ですが、日本では2022年4月の改正法により「特定小型原付き自転車」(以下、特定小型原付)という、新しいジャンルに分類されることになりました。
世界では、日本よりもかなり早期からEスクーターの普及が進んでいますが、ヘルメット着用義務、免許の有無、年齢、走行場所、制限速度などの各規制は国・地域によってまちまちであり、運用中に顕在化した問題に即時対応して改正されることも多いのが実情です。

2021年4月15日の警察庁資料より。当時の、海外5カ国の電動キックボード規制を調査したものです。
www.npa.go.jp電動キックボードの歩道走行を認めるのは、世界的にまれなケースです・・・
日本の特定小型原付の最大の特徴といえるのは、最高速度6km/h以下に制御でき、かつ鋭利な突出部がない車体であれば、「歩道」走行が可能な点でしょう! ほとんどの国が歩道走行を禁止するなかあえて日本がそれをOKとしたのは、日本のインフラ事情を考慮したものと思います。
周知のとおり、日本の都市部は、車道・歩道・自転車道の3つを備えた道路を整備できるところが少ないのが現状です。ちなみに2008年6月の改正道交法施行から自転車は「原則車道の左端」を走行。そして例外的に歩道を走ることもできる・・・というルールを明文化していますが、自転車道をすべての道路に設定できれば、このような苦しまぎれなルール作りはする必要はありません。
とどのつまり貧弱な道路インフラ事情に対する現実的な選択として、国は特定小型原付についても自転車同様に、車道および歩道を走れるルール作りをしたのでしょう。

2019年より全国30箇所以上の私有地・公有地にて、電動キックボードの実証実験を実施した業者、「Luup」の公式ウェブサイトより。特定小型原付の「扱い」が、理解しやすく整理されています。
luup.sc
国土交通省が発表した、報道発表資料の別紙より。電動キックボードの原付枠、そして特定小型枠の保安基準項目の違いを、検討した結果が示されています。
www.mlit.go.jp警察庁は、パブリックコメントを1月20日〜2月18日の期間、募集するとのことです
そのほか、今年度内に確定するであろう特定小型原付の"合法"要件としては、普通自転車と同じ長さ190cm以下、幅60cm以下という車体サイズにおさめること。そして最高速20km/h制限で、最高速度をセレクトできる場合は走行中の切り替え操作不可。なおかつ歩道走行用の最高速6km/h制御状態のときは、昼間でも前後25mから視認可能な緑色の「最高速度表示灯」を、歩道走行時に点滅させることを求めています(経過措置として2024年12月まで猶予期間を設定)。

現在国内シェアリングサービスに使用されている、Luupの電動キックボード。
luup.scいずれにせよ、今まで実店舗やECサイトを通じて、現行の原付一種のルールにも適合していない電動キックボードが無規制に販売されていたことを考えると、明確なルールが新たに作られることにより、違反走行している電動キックボードを公道から排除しやすくなる環境が整備されるのは、歓迎すべきことかと思います。
なお警察庁では、特定小型原付に関する改正道交法についてのパブリックコメントの募集を、1月20日から2月18日の間、電子メールで行っています。特定小型原付についてのご意見がある方は、ぜひともその"オピニオン"をお送りしてください!