純粋なモーターサイクルのEV(電動車)のみ・・・ではなく、ハイブリッド車そのほか様々な古今東西の「ローエミッション」な2輪車を紹介する連載企画。今回はホンダが生み出した量産車初のハイブリッドシステム採用スクーター、PCX HYBRIDとその後継モデルe:HEVをご紹介します。

※ この記事は「A little Honda」で2021年5月12日に公開されたものを一部編集し転載しています。

2輪量産市販車初のハイブリッドシステム採用モデル!!

周知のとおり、世界の市場に比べると日本は4輪ハイブリッド車の普及が非常に進んでいます。そんなハイブリッド大国の日本でも、2輪のハイブリッド車の量産車を製造販売するはホンダが唯一です。2輪EVは電気モーターと制御系とバイク作りのノウハウがあれば作れますが、2輪ハイブリッド車となるとバイク作りと内燃機とハイブリッド用モーターと制御系と・・・2輪EVよりもはるかに広い分野の深いノウハウの蓄積が求められます。
2018年9月14日にホンダが「PCX HYBRID」を発売できたのは、長年ホンダが優れた2輪と4輪ハイブリッド車を作り続けた実績があってこそ、なのでしょう。

画像: 2018年4月発売のICEV版PCXをベースに、ハイブリッドシステムを採用したPCX HYBRID。価格は432,000円(税込)でした。 www.honda.co.jp

2018年4月発売のICEV版PCXをベースに、ハイブリッドシステムを採用したPCX HYBRID。価格は432,000円(税込)でした。

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「PCX HYBRID」のハイブリッドシステムの動力源には、高出力型リチウムイオンバッテリーを採用。エンジンの始動や発電を担っているACG(交流発電機)スターターに駆動アシストの機能を追加することで、エンジンへのモーターによるアシストを行うことを可能にしています。

画像: PCX HYBRIDのハイブリッドシステム概要図。エンジンの始動とアシストは、リチウムイオンバッテリー、PDU=パワー・ドライブ・ユニット、ACGスターターが担います。電源電圧を48V系とすることで、ACGスターターによるトルクフルなアシストが可能になっています。 www.honda.co.jp

PCX HYBRIDのハイブリッドシステム概要図。エンジンの始動とアシストは、リチウムイオンバッテリー、PDU=パワー・ドライブ・ユニット、ACGスターターが担います。電源電圧を48V系とすることで、ACGスターターによるトルクフルなアシストが可能になっています。

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電気の力による駆動アシストにより、「PCX HYBRID」は従来の同クラスのスクーターを超える機敏なスロットルレスポンスと動力性能を実現。なおモーターのアシスト力は2つのモードに切り替えることができ、快適な走行と適度なアシストを両立し低燃費に寄与する「Dモード」と、アシストを強めてよりスポーツ性を高めた「Sモード」をライダーが任意で選んで楽しめます。

画像: ユニットスイング式の4ストローク単気筒124ccエンジンの、クランクシャフト右側につくACGスターター兼アシストモーター。ACGにアシストさせることで、従来のICEV並みにコンパクトな機関寸法を具現化しています。 www.honda.co.jp

ユニットスイング式の4ストローク単気筒124ccエンジンの、クランクシャフト右側につくACGスターター兼アシストモーター。ACGにアシストさせることで、従来のICEV並みにコンパクトな機関寸法を具現化しています。

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ホンダ PCX HYBRID 主要諸元
車名・型式 ホンダ・2AJ-JF84 全長×全幅×全高 1,925×745×1,105mm 軸距 1,315mm 最低地上高 137mm シート高 764mm 車両重量 135kg 乗車定員 2名 最小回転半径 1.9m
原動機 エンジン型式・種類 JF84E-K96・水冷 4ストローク OHC 単気筒 電動機種類 交流同期電動機 総排気量 124cc 内径×行程 52.4×57.9mm 圧縮比 11.0 最高出力 エンジン 9.0kW[12PS]/8,500rpm 電動機(モーター)1.4kW[1.9PS]/3,000rpm 最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) エンジン 12N・m[1.2kgf・m]/5,000rpm 電動機(モーター) 4.3N・m[0.44kgf・m]/3,000rpm 電動機(モーター)定格出力 0.36kW
燃料消費率 国土交通省届出値 定地燃費値(km/h) 55.0km/L(60km/h)<2名乗車時>
WMTCモード値(クラス)51.9km/L(クラス1)<1名乗車時>
燃料供給装置形式 電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)> 始動方式 セルフ式 点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火 燃料タンク容量 8.0L 主電池種類 リチウムイオン電池
変速機形式 無段変速式(Vマチック)
タイヤ 前 100/80-14M/C 48P 後 120/70-14M/C 55P ブレーキ形式 前 油圧式ディスク 後 機械式リーディング・トレーリング 懸架方式 前 テレスコピック式 後 ユニットスイング式 フレーム形式 ダブルクレードル
メーカー希望小売価格 432,000円(税込)

2021年に、新型4ストローク・4バルブエンジンを採用するとともに車名変更!!

2021年には、新設計の水冷4ストローク124cc単気筒エンジン「eSP+(イーエスピープラス)」を新設計フレームに搭載する新型PCXとともに、同じプラットフォームを使ったハイブリッド版2代目の「PCX e:HEV」が1月28日に発売されました。

画像: ホンダの4輪ハイブリッド車と統一性を持たせ、車名を改めた「PCX e:HEV(イーエイチイーブイ)」。カラーリングは、パールジャスミンホワイトの1色のみを採用してます。 www.honda.co.jp

ホンダの4輪ハイブリッド車と統一性を持たせ、車名を改めた「PCX e:HEV(イーエイチイーブイ)」。カラーリングは、パールジャスミンホワイトの1色のみを採用してます。

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PCX e:HEVはハイブリッドシステムを、旧型エンジンよりショートストローク化した4バルブエンジン「eSP+」に組み合わせることでパフォーマンスアップ。なお「eSP+」エンジンには新たに、ピストンオイルジェット、油圧式カムチェーンテンショナーリフター、大径スロットルボディーなどの新設計の吸排気系が与えられています。
またシート下ラゲッジスペースを24Lに拡大し、USBソケットをフロントインナーボックス内に新たに標準装備するなど実用性がアップ。後輪のスリップを抑制するHonda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)を新たに採用し、安全性が高められているのも嬉しい点です。

ホンダPCX e:HEV 主要諸元
通称名 PCX e:HEV 車名・型式 ホンダ・2AJ-JK06 全長×全幅×全高 1,935×740×1,105mm 軸距 1,315mm 最低地上高 135mm シート高 764mm 車両重量 136kg 乗車定員 2名 最小回転半径 1.9m
原動機 エンジン型式・種類 JK06E-K1N・水冷4ストロークOHC単気筒 電動機種類 交流同期電動機 総排気量 124cc 内径×行程 53.5×55.5mm 圧縮比 11.5 最高出力 エンジン9.2kW[12.5PS]/8,750rpm 電動機(モーター) 1.4kW[1.9PS]/3,000rpm 最大トルク エンジン 12N・m[1.2kgf・m]/6,500rpm 電動機(モーター) 4.3N・m[0.44kgf・m]/3,000rpm 電動機(モーター)定格出力 0.36kW
燃料消費率 国土交通省届出値 定地燃費値 55.4km/L(60km/h)<2名乗車時> WMTCモード値 51.2km/L(クラス1)<1名乗車時>
燃料供給装置形式 電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)> 始動方式 セルフ式 点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火 燃料タンク容量 8.1L 主電池種類 リチウムイオン電池 変速機形式 無段変速式(Vマチック)
タイヤ 前 110/70-14M/C 50P 後 130/70-13M/C 63P ブレーキ形式 前 油圧式ディスク 後 油圧式ディスク 懸架方式 前 テレスコピック式 後 ユニットスイング式 フレーム形式 アンダーボーン
メーカー希望小売価格 448,800円(税込)

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