北米モトクロス界の著名ライダーも参加!!
昨年からCAKEは、自社の電動オフロード車「カルクORレース」を使った「ワン デザイン レース」をスタートさせています。今年から開催される「CAKEワールドレース2022」は昨年度のイベントの拡大発展版であり、4つイベントからなるグローバルな選手権として構成され、その初回が今回カリフォルニア州デルマーを舞台に開催されたわけです。
ステファン・イッターボーン(CAKE創設者兼CEO)
「CAKE ワールズはバイクに乗る喜びを広め、バイクの持つ多様性を証明し、地域社会を汚染することなくバイクレースを楽しむことが可能であることを示すものです。過去15年間で騒音や公害の問題から、モータースポーツ場の7割が閉鎖されている中、我々は誰もが楽しめる新しいレースフォーマットを確立する明確な機会を得ています」
電動バイクという静かで低公害な乗り物を使うことで、「CAKEワールドレース」はICE(内燃機関)搭載車のレースでは難しい都市近郊での、費用対効果の高いイベントを開催できることがウリのひとつです。また、4X(フォークロス、4台のバイクによる競い合い)・ラウンドロビン(総当たり戦)で男女が同条件で順位を競うのも大きな特徴であり、性別によって区別する考えに反対する「ジェンダーニュートラル」を導入しているのもユニークな点です。
初の北米大会は、プロ対象の招待レース(4月30日決勝)とアマチュア対象のオープンレース(同5月1日)の2部門が行われ、プロ招待レースには現在AMA スーパークロス(250SX西)で王者争いをしているマイケル・モシマン(ガスガス)の兄で、かつてスーパークロス/モトクロスを戦ったジョシュ・モシマンや、ファクトリーホンダライダーとしてAMAで活躍したコール・シーリーなど、北米モトクロス界の名手が参加しました。
プロ招待、アマ対象オープンともに、モトクロスライダーが制しました!
CAKE ワールドレースの面白いところは、モトクロスなどのライダーのほか、マイク・ギース、イーサン・ネル、ジャクソン・リドルらMTB界の有名選手も参加していることです。
ICE搭載モトクロッサーを凌駕することを狙ったフルサイズの高性能電動モトクロッサーを使うのであれば、モトクロスライダーはMTBライダーよりも経験値的に有利でしょうが、CAKE ワールドレースで使用されるカルクORレースは、フロント19・リア18インチタイヤを装備し、車重は本体58kg+バッテリー17kgの75kg。そして最高出力は11kW(15hp)と、フルサイズのICE搭載モトクロッサーよりかなり低いパワーなので、MTBライダーとしてもとっつきやすい仕様といえるでしょう。
プロ招待レースのセミファイナル1は、MTBライダーのM.ギースが優勝。2位は昨年スウェーデンで開催されたワンデザインレース勝者のダウンヒルライダー、セス・スティーブンスでともにビッグファイナルに進出。残念ながらC.シーリーは最下位に沈み、5〜8位の順位を決めるスモールファイナルに回ることになりました。
そしてセミファイナル2は、J.モシマンとJ.リドルが1、2位となりビッグファイナルに進出。ビッグファイナルを戦う4名の属性は、J.モシマンのみがモトクロスで残り3名はMTB・・・となりましたが、全世界10億人(※適当な推測値?)のモトクロスファンの期待に応えてJ.モシマンが優勝!! 2位M.ギース、3位S.スティーブンス、4位J.リドルのリザルトになりました。
昨年のスウェーデン・ゴットランド島でのレースでは、5位に女性ライダーのキアラ・フォンタネージが入賞し話題となりましたが、今大会は残念ながらセミファイナル8名に残った女性ライダーはいませんでした。しかし、アシュリー・フィオレックが女性最上位(9位)を記録し、2009年に女性として初めてホンダファクトリーライダーとなった実力を披露しています。
なお翌日のアマチュア対象オープンレースでも、モトクロス畑のライダーであるディラン・ガスザックがクォーターファイナル、セミファイナル、ビッグファイナルすべてを勝利して優勝。MTBファンのみなさまには申し訳ないですが、私情としてモトクロスファンな私は大満足です(苦笑)。
CAKEワールドレースはこの後、今年の夏に欧州で開催予定ですが、今年後半にはカリフォルニア州パラにあるフォックス・レースウェイで、CAKEワールドファイナルという欧州勢と北米勢が激突する最終決戦が行われることになっています。
現状では欧州と北米という2大陸間での争い・・・というCAKEワールドレースですが、将来的には極東のアジア・・・日本もオフロードレーシング文化国のひとつということで仲間に加えてほしいですね。ともあれ今後もCAKEの新しいモータースポーツ文化醸成の試みに、注目していきたいです!