3輪タクシーの「リキシャ」って、日本語の「人力車」がその名の由来です
オートリキシャ、またはリキシャ(リクシャー)と呼ばれる3輪自動車は、インドで安価なタクシーとして人気の乗り物です。まずは日本の人力車がインドに輸入され、インドの人々に受け入れられてリキシャという名で呼ばれるようになり、その後、人間の脚でクランクを漕いで走る「サイクルリキシャ」、そしてICE(内燃機関)を動力とする「オートリキシャ」へと発展し、今に至っています。
運賃が安価で小回りが効く交通手段として人気のリキシャですが、交通の流れを妨げるとして走行を禁止している州もあります。また、リキシャの排ガスも環境汚染の元・・・としてにらまれており、近年はバッテリーを動力源とする電動リキシャの普及が大都市で始まっています。
電動リキシャの市場は、ほかの自動車同様EV化の流れに乗って伸長するビジネスとして注目されていますが、やはり充電ステーションを増やすというインフラ整備が、普及のカギとなっています。
そこでホンダは電動リキシャを手がけるTORKモータースと組んで、2021年2月からインドで実証実験を開始。30台、20万km以上の営業走行で得たデータやノウハウを活かし、2022年前半から「モバイルパワーパック イー」を採用した電動リキシャ向けの、バッテリーシェアリングサービス事業を開始することをアナウンスしました!
インドにバッテリー交換ステーション網を作れば、その経済効果はデカいです!
リキシャはタクシーですから、どれだけ長い時間走らせるか、が大事です。充電式の電動リキシャはEVの泣きどころである充電時間の長さが、ICE搭載リキシャと比較しての最大の欠点です。しかしステーションでのバッテリー交換式方式でしたら、充電時間の問題は解消することができます。
ホンダの計画は、まずインドにバッテリーシェアリングサービス事業を目的とした現地法人を設立。そして街中にバッテリー交換ステーションである、「ホンダモバイルパワーパックエクスチェンジャーイー」を設置し、モバイルパワーパック イーの貸し出しを行います。当初は限定した都市で運用を開始し、順次サービスエリアを拡大していく・・・という方針です。
インドのリキシャ新車販売は年60万〜70万台と言われていますが、そのうち電動リキシャは約2万台にとどまっています。しかし、リキシャの電動化は時代の要請であり、今後電動リキシャの普及スピードはもっと加速することが予想されます。もしこの分野で業界のリーダーになれば、得ることのできる収益はかなりのものになるでしょう。
電動リキシャだけでなく、2輪EVなどにも使えるのがポイントです
なお「モバイルパワーパック イー」はジャイロキャノピー イーに採用されるなど、ホンダ製の2/3輪EVや、コマツと共同開発した電動マイクロショベル(市販予定)にも使うことが可能です。
つまり、インドでバッテリー交換ステーション網を構築することは、これらの機械のサービス網も同時に整備することになります。インドのバッテリー交換ステーションに関する話題としては、今年4月に、この分野で先行する台湾のGogoro社が、インド大手2輪メーカー「ヒーロー・モトコープ」とインドにおける「バッテリー交換ネットワーク」を構築する合弁会社の設立を含む提携を発表したことが記憶に新しいですが、ホンダの電動リキシャ向けバッテリーシェアリングサービスは、インドという巨大2輪市場におけるシェア争いでの「反攻開始」と受け取ることができるのかもしれません!?
ますます激化するであろう、「インドでの戦い」がどのような展開になるのか、これからも注目していきたいです!