結局、エントリーは6台でした
FIM(国際モーターサイクリズム連盟)トライアル世界選手権の併催イベントとして行われる「トライアルE ワールドカップ」。開設から4年、そのすべての過去シーズンを制覇したのはトライアル界の名門ガスガスでしたが、プレエントリーリストにガスガスチームの名前がなかったことから、今年度は本格電動トライアルマシンを先駈け的に熱心に開発し、開拓してきたフランスのEMの独壇場になるのではないか・・・? と予想されていました。
今年度トライアルE開幕戦の舞台となったシャレードに参加したのは、プレエントリーリストの3名よりも増えて計6名でしたが、やはり想像されたとおりガスガスのエントリーはありませんでした。そして昨年、王者アルベルト・カベスタニー(ガスガス)と競り合った、EMのエースライダーであるガエル・シャタヌが順当? に勝利し、EMのトライアルE初戴冠に一歩近づきました。
継続は力なり!! そしてユーザーは、戦い続ける姿勢に信頼を寄せます!?
G.シャタヌは6月、イタリア選手権のTR2カテゴリーに参戦し5位と3位を獲得。このエントリーはその2週間後のシャレードでの、トライアルE開幕向けてのテスト参戦であり、その意味では準備万端でキッチリトライアルE開幕戦を勝ち切ったと言えるでしょう。
シャタヌは1ラップ目を減点10、2ラップ目を減点15で切り抜け完全優勝。雨の難しいコンディションでも、安定した強さを発揮しました。
2位になったのは10年以上「アーバントライアルショー」を主宰し、トライアルの普及に尽力するジュリアン・ペレ。直前に本番車を受け取ったペレは12セクションの1ラップ目は減点25で3位でしたが、2ラップ目では減点を17に抑えて順位を挽回。そしてガスガスのテストライダーを務めた経歴を持つスペイン人のマーティン・リオボ・エルメロが、2人のフランス人に続いて3位表彰台に登壇しました。
ガスガスがなぜ今年のトライアルE開幕戦に参戦しなかったのか・・・その理由は定かではないですが、電動モータースポーツ推進に力を入れているFIMとしても、トライアルファン的にも、ガスガスの不在は残念なことに他ならないでしょう。
ともあれトライアルE開設前から、トライアル世界選手権に電動車でチャレンジしたりしていたEMがトライアルEのタイトルを今年獲得するとしたら、それを喜ぶ人は多いのでは? メーカーはさまざまな理由でモータースポーツに参戦したり、しなかったりするものですが、一途に活動を続けるメーカーを称賛するのは、モータースポーツ愛好家的には極めて自然な感情だと思いますので・・・。
なお今年度のトライアルEは、8月20日のアンドラ、そして8月28日のフランス・カオールの全3戦で競われることになる予定です。