5月28〜30日、ポルトガルのエストリルを舞台に行われたSBK(世界スーパーバイク選手権)は、3レースともドライで競われました。前ラウンドのアラゴンでは天候の変化に翻弄され、タイヤチョイスが勝敗を分ける鍵となりました。そしてエストリルでも、どのタイヤを選ぶか? という戦略の大事さが、改めて認識されるレース結果になったのです。

レース1はスコット・レディング(ドゥカティ)が優勝!

29日(土)のレース1で、好スタートを切ったのは昨年度ランキング1位のジョナサン・レイ(カワサキ)と同2位のスコット・レディング(ドゥカティ)。ともに今シーズンの優勝を経験している実力者ですが、オープニングラップを制したのはレディングでした。

そしてレイを抜いて2位に浮上したのは、ヤマハのエースのトプラック・ラズガットリオグル。レイは2周目にレディングのチームメイトのマイケル・ルーベン・リナルディにもパスされますが、その次の周ではレイが抜き返し、3位のポジションに戻りました。

トップ3のタイヤチョイスはレイSC0で、レディングとラズガットリオグルがSCXを選択。ピレリワンメイクのSBKルールですが、耐久性よりパフォーマンス重視のSCX、そしてSCXより耐久性寄りで対応路面の幅も大きなSC0という特性の違いが、レース後半戦を面白く演出しました。

画像: SBK公式タイヤ、ピレリ・ディアブロ・スーパーバイクNHS(リア側)のコンパウンド特性。 www.pirelli.com

SBK公式タイヤ、ピレリ・ディアブロ・スーパーバイクNHS(リア側)のコンパウンド特性。

www.pirelli.com

21周のレース後半、SC0の特性が発揮されレイがラズガットリオグルを激しくアタック。しかしラズガットリオグルもレイの猛攻撃をしのぎ、2位を死守します! 両者のバトルの前を走るレディングはリードを保つことに成功し、見事先頭でチェッカー。前戦アラゴンのレース2に続く優勝は、彼にとってSBKキャリア初の連勝となりました!

Twitter: @WorldSBK tweet

twitter.com
画像: 前戦アラゴンの、ウェットコンディションのレース2では、タイヤギャンブルでスリックを選んで勝利したS.レディング(ドゥカティ)ですが、エストリルのレース1ではライバルのJ.レイ(カワサキ)がSC0を選んだのに対し、SCXを選んだことが奏功。見事連勝を達成しました。 media.ducati.com

前戦アラゴンの、ウェットコンディションのレース2では、タイヤギャンブルでスリックを選んで勝利したS.レディング(ドゥカティ)ですが、エストリルのレース1ではライバルのJ.レイ(カワサキ)がSC0を選んだのに対し、SCXを選んだことが奏功。見事連勝を達成しました。

media.ducati.com

そしてレイとのバトルを制したラズガットリオグルが2位入賞。3位に入り、SBKキャリア189回目の表彰台を得たレイですが、これはカワサキにとっては1993年以来となる、エストリルでの表彰台獲得でもありました・・・・。

SBK2021 R2 エストリル レース1
1 S.レディング Ducati GBR 34'08.039
2 T.ラズガットリオグル Yamaha TUR 0.877
3 J.レイ Kawasaki GBR 0.915
4 G.ガーロフ Yamaha USA 9.518
5 M.リナルディ Ducati ITA 13.636
6 C.デイビス Ducati GBR 17.177

日曜のスーパーポールレースは、J.レイ(カワサキ)が勝利!

レース2のグリッドを決める、10周の超スプリント形式のスーパーポールレース。前から2列目までに並ぶライダーのうち、唯一ピレリSC0タイヤを選択したのはJ.レイでした。なお全ライダーで見ても、SC0を選んだのは3人のみ・・・でした。

ライバルたちと異なるタイヤ戦略をとったレイですが、スタート後にS.レディングとT.ラズガットリオグルに抜かれて3位に後退。レディングがターン6でミスした隙をついてレイは2位に浮上。さらに首位のラズガットリオグルを抜いて、5周目からは首位をキープして優勝しました!

画像: スーパーポールレースで、年間王者争いをするライバルたちとは異なるタイヤを選んで勝利したJ.レイ(カワサキ)。 www.worldsbk.com

スーパーポールレースで、年間王者争いをするライバルたちとは異なるタイヤを選んで勝利したJ.レイ(カワサキ)。

www.worldsbk.com

2位は0.690の僅差でレイに敗れたラズガットリオグル。3位はレディングと、レース1で表彰台登壇を果たした3名が、再び壇上の人となりました。

SBK2021 R2 エストリル スーパーポールレース
1 J.レイ Kawasaki GBR 16'13.053
2 T.ラズガットリオグル Yamaha TUR 0.690
3 S.レディング Ducati GBR 1.180
4 G.ガーロフ Yamaha USA 2.059
5 M.リナルディ Ducati ITA 3.583
6 A.ロウズ Kawasaki GBR 3.623

レース2はレイが勝利し、年間王者争いをリード!

21周のレース2のスタート後、今ラウンド好調のT.ラズガットリオグルが、ジャンプスタートによる2回のロングラップペナルティが課せられることになりました・・・。まず首位に立ったのはS.レディング。そしてチームメイトのマイケル・ルーベン・リナルディがJ.レイを抜いて2位に浮上します!

しかし、リナルディはヤマハのギャレット・ガーレフに2周目に追突され戦線離脱。首位争いはレディングとレイの一騎打ちになります。このレースでもレイはSC0を、そしてレディングはSCXを選択。レース1ではその選択が奏功したレディングですが、レース2ではレイの方に勝利の女神が微笑むことになりました。

画像: ジャンプスタートで、2回のロングラップペナルティを課せられたT.ラズガットリオグル(右、ヤマハ)。チームメイトのアンドレア・ロカテッリは、レース2で5位に入っています。 www.worldsbk.com

ジャンプスタートで、2回のロングラップペナルティを課せられたT.ラズガットリオグル(右、ヤマハ)。チームメイトのアンドレア・ロカテッリは、レース2で5位に入っています。

www.worldsbk.com

14周目、レイに激しいプレッシャーをかけられて抜かれてしまったレディングは、ターン4でフロントのコントロールを失うことに・・・。転倒したレディングに代わり、2位でレイを追ったのは昨年までドゥカティワークスに属し、長年レイのタイトル争いのライバルだったチャズ・デイビスでした。

首位のレイに迫ったデイビスですが、冷静にレイはデイビスとの差をコントロールして優勝! 2位デイビスに続いて表彰台最後の3位に入ったのは、ロングラップペナルティで苦戦を強いられることになったラズガットリオグルでした。

画像: エストリルラウンドの日曜日、スーパーポールレースに続きレース2も制したJ.レイ(カワサキ)。レイに挑むライバルたちは、まず彼と同等以上の「安定感」を身につけないと勝負にならないでしょう・・・。 www.worldsbk.com

エストリルラウンドの日曜日、スーパーポールレースに続きレース2も制したJ.レイ(カワサキ)。レイに挑むライバルたちは、まず彼と同等以上の「安定感」を身につけないと勝負にならないでしょう・・・。

www.worldsbk.com

次戦エミリオ・ロマーニャラウンドは6月11〜13日に開催予定です。さらに王者レイが強さをライバルたちに見せつけることになるのか? それともライバルたちの反攻を見ることができるのか? 決戦の日を楽しみにまちましょう!

SBK2021 R2 エストリル レース2
1 J.レイ Kawasaki GBR 34'13.197
2 C.デイビス Ducati GBR 2.787
3 T.ラズガットリオグル Yamaha TUR 9.484
4 A.ロウズ Kawasaki GBR 12.401
5 A.ロカテッリ Yamaha ITA 14.011
6 M.ファン・デル・マーク BMW NED 15.189

SBK2021 ランキング ※5月30日時点
1 J.レイ Kawasaki 110
2 T.ラズガットリオグル Yamaha 75
3 S.レディング Ducati 72
4 A.ロウズ Kawasaki 62
5 C.デイビス Ducati 48
6 G.ガーロフ Yamaha 42

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.