業界最高クラスの出力密度
そもそもヤマハは2020年より、4輪をはじめとするモビリティ向け電動モーター(35~200kW)の試作開発を受託しています。長年馬力表示に慣れ親しんだオジサン(私)には、キロワット表示ってその実を理解するのに時間かかるのですが、35〜200kWということは47.6〜271.9馬力ってことですね(苦笑)。
今世界では、来たる将来のEV普及期を見据え各業界でさまざまな動きがありますが、ICE(内燃機)自動車業界で各エンジンサプライヤーが活躍したように、将来は高性能電動モーターのサプライヤーが活躍することが予想されます。ICEのサプライヤーとして数々の実績を積んでいるヤマハが、EV時代到来をにらんで電動モーターの試作開発受託をするのは自然な流れといえるでしょう。
4月12日発表されたハイパーEV向け最大350kW≒475馬力の試作電動モーターユニットは、油冷方式の永久磁石埋込型同期モーターですが、冷却方式や最大出力は試作開発を依頼する顧客のニーズにあわせて対応・・・とのことです。この試作電動モーターユニットはギア、インバーターを一体化したコンパクトな機電一体型が特徴であり、車両へ複数ユニットを搭載する用途が想定されています。
動画の中に登場するテスト車は・・・?
ヤマハはこの350kW試作電動モーターユニットなどを、5月26日~28日に開催予定だった「人とくるまのテクノロジー展2021横浜」で公開することを告知していましたが、COVID-19パンデミックのためパシフィコ横浜での開催は中止となりました。
※オンラインイベントの「人とくるまのテクノロジー展2021オンライン」は開催しています。
こちらに紹介するYouTube動画は5月26日に公開されたものですが、350kW試作電動モーターを中心にヤマハのEV用電動モーター作りの考え方がわかる、非常に興味深い内容になっています。
動画内では、350kWの試作電動モーターを4基搭載して、4基のモーターがそれぞれ4つの駆動輪を駆動・制御するというハイパーEVのコンセプトが紹介されています。4基のモーターの総合出力は1.47MW(メガワット)・・・つまり2,000馬力!! になります。
なおヤマハのEV用モーター技術は、2輪から先行して開発されたそうです。まぁ2輪EVの場合、475馬力とか2,000馬力とかの大出力は不要だと思いますが、その技術を活かした高性能EVスポーツバイクもぜひとも開発してほしいなぁ・・・と思ってしまいました。