北側が"雪国"という土地ならではの乗り物!!
モーターサイクルが19世紀末に発明されて以降、モーターサイクル用の小型で高性能なエンジンは他の乗り物に活用されることが多いです。こちらに紹介するミード・アイス・ヨット社(後にミード・グライダーズ社)のワールウィンド(旋風、の意)アイス・ヨットも、そんな製品のひとつでした。
ミード社があったのは、イリノイ州シカゴ。ご存知のとおり北米大陸の北側は、かなり緯度が高いので冬は雪が降りまくったりします。そんな冬期は雪や氷で閉ざされた土地では、いわゆるスノーコーチやスノーモビル的な雪上車の需要が今も昔もあります。
ミード社は1929年からの"大恐慌"の最中、そして大恐慌後にも各種アイスヨットを販売していました。アイスヨットは基本的にスキーを3つ足まわりに備え、海のヨットのように帆に受ける風や、エンジンで駆動するプロペラを推進力として使う乗り物です。
大恐慌の時期、そしてその後は当然景気が良くなかったので、ミード社は自社製品を安価で販売するためにユニークな方法を採用していました。それは「顧客の懐具合に合わせた」製品ラインアップです!
裕福な購入者は迷うことなく? 149.50ドルで完成品を購入することが選べました。完成品運搬用のクレート代(10ドル)を払うこともできます。そこまで予算に余裕ない・・・という方は、必要な部品がすべて揃っていて、DIYで組み立てるキットが49.50ドルで販売されていました。
キットの値段もちょっとキツイ・・・という方には、木工の上級者向けではありますが、設計図の"ブループリント"をわずか2ドルで販売! という商品も用意されていたのがとても面白いですね! いずれのタイプの顧客も、搭載するエンジンはミード社から買うのではなく、自分で用意しなければいけないのは一緒でした。
ハーレーダビッドソンの本社博物館に所蔵されている「ワールウィンド・アイス・ヨット」には、1925年型ハーレーダビッドソンJDCBのVツインが搭載されていますが、発電器の代わりに点火用マグネトーが付いているのが非常に興味深いです。
ぜひこの「ワールウィンド」が、ハーレーダビッドソンの心臓音・・・Vツインサウンドを響かせながら雪上や氷上を疾走する姿を見てみたいですね・・・。ハーレーダビッドソンファンや変わった乗り物好きの方は、ぜひ動画をチェックしてください!(※残念ながら博物館の展示品紹介のみで、走行シーンはありません・・・)。