じつは深い、ドゥカティと耐久の結びつき!?
おそらく日本のロードレースファンのなかには「え!? ドゥカティには、耐久レースのイメージがないなぁ・・・?」と思う方が多いと思います。確かにドゥカティのロードレース活動といえば、1980年代後半からのSBK(世界スーパーバイク選手権)、そして21世紀に入ってからのMotoGPの活躍が、多くの人のイメージするところだと思います。
しかし古くからのドゥカティファンの方はご存知の方が多いと思いますが、Vツイン誕生以前の単気筒時代、そして1970年代のベベル系Vツイン、1980年代のパンタ系Vツイン・・・と、ドゥカティは第二次大戦後の1950年代から著名な耐久レースで数々の栄光を手にしてきたブランドなのです。
そして1988年からドゥカティのロードレース活動の軸足は、当時登場した水冷8バルブVツインを主戦マシンとするSBKに移ることになりますが、まったく耐久と縁がなくなったわけではありませんでした。1990年代にはファクトリー系のライダーを日本のプライベーターへ派遣するというかたちで、鈴鹿8耐にも挑戦していました。
耐久レース界でも、再びその"プレゼンス"を高めることができるか!?
ドゥカティが耐久レースで活躍していた栄光の時代も、今では30数年前のすっかり"昔の話"になったわけですから、2019-2020年のFIM EWCにワークスサポートというかたちでドゥカティがパニガーレ V4 Rを参戦させたことは、多くの人に驚かせることになりました。
オフィシャルチームという立場を含め、過去数シーズンはBMWのマシンで戦っていたチームERCエンデュランスは、急遽今シーズンの第2戦セパン8時間の直前になって、パニガーレ V4 Rにマシンをスイッチすると発表! そして悪天候で波乱の短縮レースとなった新体制初陣で、チームは10位という結果を残すことができました。
今年の1月末、チームはパニガーレ V4 Rが体験する初の"24時間"レースである4月18日決勝のルマン24時間に向けて、ポルティマオにて2日間のテストを敢行しました。参加したライダーはルイ・ロッシ、オンドジェイ・イェジェク、そしてセパン8時間で起用したランディ・ド・プニエに代わるジュリアン・ダ・コスタの3名です。
1970年代から、日本製の4気筒大型スポーツバイクが耐久レースの世界の主役に立ち続けている最大の理由は、その高性能と耐久性の両立ぶり・・・にあります。パニガーレ V4 Rがいかに高性能であるかは、デビュー年の2019年シーズンのSBKでの活躍ですでに実証済みですが、はたして耐久性はどれだけあるのか・・・は多くの人が気になる部分だと思います。
ドゥカティのレース部門・・・ドゥカティ・コルセにとって優先順序はワークスサポートという体制で挑むFIM EWCより先に、タイトル奪還を目指すMotoGPとSBKにあるのは明らかです。しかしドゥカティ・コルセのマネージャーであるジジ・ダリーニャが以前から、パニガーレ V4 Rの耐久レーサーとしての可能性には関心がある・・・とメディアのインタビューなどに答えているとおり、近年注目が高まっているFIM EWCも無視できない分野・・・とドゥカティは認識しているのでしょう。
はたして今後、どれだけドゥカティがFIM EWCでの活動に力を入れていくことになるのか・・・? このことも、今後のFIM EWCの見どころのひとつであることには、違いないでしょう!