昔懐かしHONDA CB1100Rを駆るとびきりのいいオンナ。そんな彼女が落としたピンクの財布を拾ったバイク乗りは、愛するCB1300スーパーボルドールにまたがるや彼女を追うが・・・
オートバイ2019年7月号別冊付録(第85巻第11号)「THE VANITY FAIR」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
オートバイ2019年7月号別冊付録(第85巻第11号)「THE VANITY FAIR」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
高速道路のパーキングエリアで一休みしていたら、目に入ってきた超いいオンナ
梅雨の合間の晴れた日のことさ。俺はダチと二人できままなツーリングにでかけていた。
くだらない話で盛り上がっていた時、俺たちの目の前をマジでグッとくるいいオンナが通り過ぎたんだ。
赤いライダースに身を包んだそのオンナをみて、ダチは「あの女、バイク乗りケエ」と呟いたが、俺は誰かの後ろに乗ってきたんじゃねえの?と無関心を装った。出会いを期待して失望するのはまっぴらだったからだ。
オンナが転がしていたのは、なんとCB1100Rだった!
ところが、女は周りに目もくれず、一台のバイクに歩み寄るじゃないか。
「すっげェとっぺェの転がしてんなァ!」思わずダチが呻くように呟いたが、それもそのはず。オンナがまたがったマシンは、なんとHONDA CB1100Rだったからだ。
軽やかな動きでCB1100Rを走らせてはじめたオンナの背中を俺たちは陶然として見送るほかなかったが、そこに小さな事件が起きた。女のデニムの後ろポケットから、ピンクの財布がこぼれ落ちたのだ。
俺はいそいでそれを拾い上げて、落としたことを伝えようとしたが、女は気付かず走り去ってしまった。
追いつけるか俺。何にも期待してない、ただ落し物を届けたい、それだけのことさ
オンナが走らせていると思えないほど軽々とした動きで走り去るCB1100R。俺はとっさに愛車(HONDA CB1300スーパーボルドール)にまたがると、財布を胸にしまってオンナを追いかけた。
追いつけるか?わかんねえ。
いいオンナとの出逢いのきっかけ?そんなのしらねえ。
その時の俺は、ただ反射的にあのCB1100Rを追いかけた。そう、バイク乗りとしての反射的行動、それだけだった。そう、それだけのことさ。
さて、走り去るCB1100Rに俺のCB1300は追いつけるか?
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