1年に100本以上の映画作品を鑑賞する筆者の映画評。今回はリーアム・ニーソン主演、ウォーターゲート事件を題材にしたサスペンス『ザ・シークレットマン』。
ホワイトハウスからの圧力に抗するため、自ら捜査の内部事情をリークし続けた米史上最強の密告者「ディープ・スロート」こと当時のFBI副長官マーク・フェルトを描いた。

実在の内通者を描くサスペンス

政府関係者の膨大かつ緻密な個人情報を秘匿することで、誰も手出しできないほどの絶大な権力を得た、初代FBI長官 J.エドガー・フーバー(任期 1935年3月23日 – 1972年5月2日)。

その彼が突然死したのは1972年5月2日。切れ者で知られるマーク・フェルト副長官がフーバーの後を継ぐと思われていたが、実際にはホワイトハウスの影響下にある人物が長官代理に任命され、フェルトはFBIが築き上げてきた政権からの独立性が脅かされつつあることを知る。

そんな中、5人の男がワシントンD.C.の民主党本部に盗聴器を仕掛けようとして逮捕されるという事件が起きる(米国政治史上最悪の汚職事件 ウォーターゲート事件)。

現職の大統領が政敵を盗聴?
最悪の結末を予見し慄きながらも捜査を続けるフェルト達だったが、そこにホワイトハウスからの露骨な操作妨害が入り始めるにあたり、フェルトは自ら捜査情報をNYタイムズやワシントンポストなどのメディアにリークするという禁じ手に出る・・・。

組織の精神性に殉じる男の孤独な闘い

ウォーターゲート事件から33年後の2005年5月に真相が明らかになるまで、謎に包まれていたウォーターゲート事件の内通者「ディープ・スロート」。その正体であった当時のFBI副長官マーク・フェルトの姿を描く、骨太の政治サスペンスドラマ。

本作では、マーク・フェルトが、政権から独立し捜査を行うというFBIの理想を守るために、実際の組織を裏切る(FBIの内部情報を漏洩する)という、矛盾する選択をする様を描く。
ただ、同時に、30年間も健気に勤め上げた組織から裏切られたことへの反発からの行為であるかのようにも映る。(長官にもしてもらえず、その上 理想の姿から離れて堕落していく組織への反発)

いずれにせよ、彼の告発がなければウォーターゲート事件を通じてニクソン辞職へと追い込むことはできなかった。それだけは確かである。

ちなみに、ディープ・スロートとは、けっこうアレなプレイを指す隠語でもある。
だから、自分にこのコードネームがついたと知らされたときのマーク・フェルトの表情は、なかなか複雑なモノだった笑

画像: 2/24(土)公開『ザ・シークレットマン』ショート予告 youtu.be

2/24(土)公開『ザ・シークレットマン』ショート予告

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