バランサーシャフトを使わずに、単気筒の一次振動をキャンセルする・・・
みなさんは、ドゥカティが1993年から1995年の間に製造した"スーパーモノ"を覚えているでしょうか? わずか65台が、当時欧州を中心に盛り上がっていたシングルレース(4ストローク単気筒車のレース)のために製造されたスーパーモノは、欧州選手権やマン島などのレースで大活躍しました。
スーパーモノの特徴は、ドゥカティの水冷90度Vツイン4バルブの基本設計を巧みに流用したところでした。4ストローク2気筒でバランサーシャフトを使わず一次振動をキャンセルするには、90度Vツイン、BMWのようなボクサーツイン、そしてコントラローティング方式のタンデムツインや、ホンダが採用した位相クランクVツイン・・・などのレイアウトを採用することになります。
スーパーモノは、SBK(世界スーパーバイク選手権)などで活躍する水冷90度Vツインの上側ピストンやシリンダーヘッドなどを外し、その代わりにピストン分の重量を持つロッドをコンロッドに連結させる・・・という構造を持っていました。
この方式ならばギアなどで駆動するバランサーシャフトを入れなくても、シンプルな作りで振動をキャンセルできる単気筒エンジンを作れるというわけです。なお余談ですが、今日ドゥカティ・スーパーモノはものすごいプレミアがついていて、とあるオークションでは1,200万円以上のハンマープライスがついたりしています・・・スゴイ!! ですね。
スズキのパテントも、ドゥカティ流ですね・・・!?
さて報道された、米国特許商標庁に申請されたスズキの単気筒エンジンに関する特許ですが、これも基本的な考え方はドゥカティ・スーパーモノと一緒です。
じつはスズキが、このドゥカティ・スーパーモノ流のバランサーを持つ単気筒を出願したのは、これが初めてではありません。2017年にも同様の特許を考案しており、そのときはモトクロス用バイクの単気筒としてデザインされ、バルブトレインはDOHCを採用していました。
このスズキの特許、いつの日にか具現化して私たちの前に登場するのでしょうか・・・? またそれは、ロードバイク? それともオフロードバイク? 公道用 or 競技用? 世の中には日の目を見ることなく放棄された特許も数多いですが、ぜひともスズキにはこのアイデアをかたちにしてもらいたいですね!