走りに潜む『W1』スピリット
ご存知のかたも多いでしょうが、新型W800ストリートとカフェは前輪19インチを捨て、新たに前後18インチのホイールを採用。同時にフレームも完全に新設計されています。
街中でもハンドリングに素直さは感じていました。
ところが、その真価は何とワインディングのコーナーだったんです。
こういうクラシックなバイクに、峠の走りなんて……と言わないでください。
これが本当の「味わいと技術の融合」だと感じています。
ファッションバイクで走りは二の次、なんて口が裂けても言えない。
走らせるごとに、どんどんペースを上げたくなる!?
美しいワイヤースポークホイールは18インチ化され、ハンドリングをニュートラルに。
もちろん、その動きはスーパースポーツのように切れ味鋭いコーナーリングではありません。
でも、ちゃんとロードスポーツとしての扱いを新型W800は求めてくるんです。
走りにもカワサキは妥協しなかった
コーナー手前の減速からすこしフロントブレーキを残して進入。
ブレーキをスッと離すと同時に、ロードスポーツのように車体の向きが明確に変わる。
そこからのスロットルオン。
旧車のような後輪1本に乗るフィーリングで、リアタイヤが強く路面を捉えるのがわかります。
でも、その後輪1本に乗るような感覚の中、冷静になるとフロントタイヤに確かな接地感が残っている。
懐かしい操作感を、現代の技術で裏側からひっそりと支えているイメージです。
まるっきりロードスポーツみたいに、腰をズラして膝を出すライディングフォームにしたくなる欲求を懸命に抑えました。
このバイクに、そういう乗り方は似合わない。
そう思ったからです。
だけど走ることだけに集中するなら、そうしたくなる。
4000回転から上は低回転とは別世界。
猛々しさは失わず、でも綺麗にエンジン回転数が上がっていく。
それほどにスポーティな走りを、新型W800いとも簡単に繰り出せるんです。
シートとタンク、そしてステップの位置関係も絶妙。
確実に身体をホールドできます。
これってクラシックじゃない、純粋なロードスポーツのような感想ですよね。
ですが、本当のことなんだから、そうとしか伝えられないんです。
カワサキが過去に、世界へ初めて送り出したW1というバイクは、メーカーの威信をかけた高性能車でした。
だから本質として、カワサキ『W』の血統は高性能車であるべきなんです。
それを新型W800は実行した。車体も足周りも本気で造り込んできた。
ただしその走りはすべて、先に言った「最高に味わい深いエンジン」のフィーリングが大前提なんです。
もう、みなさんも何となくおわかりでしょうか。
新型W800は本当に『テイスティであり、高性能』と言う他に無いんです。
結局どっちなの?と言われても、どっちも!と答えるしかない。
味わいと性能が双方ともに強く象徴するけど、喧嘩していない。
そこに優劣がありません。
ヘッドライトLEDですし、エンジンにはスリッパークラッチさえ組み込まれています。
走りを支える部分は、裏側から現代の技術で受け止める。
しかし核となるエンジンはどこまでも荒々しく、常にそれを中心に据える。
お見事!
これぞカワサキ『W』の真にあるべき姿。
ひとりのバイク好きとしてボクは、心の底から、新しいW800を歓迎したいと思います!
KAWASAKI / W800 STREET
W800ストリートの足着きは?
ところで実際問題として、気になる足着き性は?
もうひとつの新型W。W800カフェと一緒にご覧ください!