今回は、エミリー・ブラント x ジョン・クラシンスキー(の実の夫婦)主演のSFホラー 『クワイエット・プレイス』。
そっと伝えたいあらすじ
隕石と共に飛来したと思われる怪物たちによって荒廃した世界。彼らは音に反応して人間を襲う。そんな怪物を避けて、”静かに”暮らす家族(夫婦と3人の子供たち)がいた。音を立てたら奴らが来る・・。そんな恐怖と不安の中で、懸命に生き残りを図る彼らだったが、妻のエヴリンは妊娠しており、出産の日は刻々と近づいていた。
果たして家族は怪物たちをやり過ごし、生き残ることはできるのか。そして新たな命をつなぐことはできるのか??
アイデアと巧みな演出によって、低予算でも良い映画が撮れると証明した作品
本作は低予算ながら全米で大ヒットを挙げ、続編の公開も決定したとされる、SFホラー作品の傑作だ。同じく低予算ながら映画のヒロインの行動を模倣して目隠しして車を運転する若者が続出するなどの社会現象を引き起きしたNetflixの『バード・ボックス』 は”見てはいけない”怪物だったが、こちらは”聞かれてはいけない”怪物。
だから前者は怪物の姿は見えない(見せない)設定だったが、本作では醜いほど聴覚とその器官が発達した怪物の奇怪な姿をたっぷり堪能することができる。
本作では監督を務めたジョン・クラシンスキーが妻であるエミリー・グラントと、作中でも夫婦役を演じていることで話題になったが、夫婦愛というよりは家族愛、いや子供達を守ろうとする親の強さをギリギリの緊張感の中で見事に描いている。
思わず悲鳴を挙げたくなるようなシーンも多いが、観ている我々もまた主人公たちとともに手で口を塞ぎ、声どころかわずかな物音でも立てないように身体を固めてしまう。過剰な演出も脅かしもなく、比較的正攻法な撮り方だが、大ヒットしたことが頷ける見事なカメラワークや展開に文字通り言葉を失うだろう。