後の2輪史に多大な影響を与えたモデル
去る1月24日、ラスベガスにてボナムスのモーターサイクル・オークションが行われました。さまざまな注目のヴィンテージモデルがオークションにかけられたのが、そのなかでも多くの人の関心が集まったのが、マックイーンが所有していた1台のトライアンフでした。

1959年、「拳銃無宿」でのS.マックイーン。彼は熱烈なモーターサイクル&カーガイとしても有名でした。
en.wikipedia.orgそれは1938年型のトライアンフ5Tスピードツインで、1970年代末にマックイーンのバイク仲間の1人、デイブ・イーキンスがレストアしたマシンでした。エドワード・ターナーの創造物であるスピートツインは、旧来主流だった2気筒車・・・Vツインよりも軽量・コンパクトな空冷4ストローク並列2気筒OHV500ccを搭載し、単気筒並みの軽快さが大きな特徴でした。
マックイーンの愛機だった1938年型トライアンフ5Tスピードツイン。その後のスポーツバイクのあり方を定義付けたモデルと言われています。
www.bonhams.comこの5Tをベースに、高性能版のT100タイガー、そして排気量拡大版の6Tサンダーバードなどが誕生。第二次世界大戦後、若い兵隊たちの復員によりモーターサイクルがブームとなった当時のアメリカで、トライアンフツインはもっともスポーティなモーターサイクルとして、大人気となりました。
な・・・なんと、19,000,000円オーバーのハンマープライス!
映画「大脱走」のスタントシーンでも500ccのトライアンフツインが使われたことは有名ですが、プライベートでもマックイーンはトライアンフツインの大ファンでした。彼が集めたモーターサイクルのコレクションのなかには、何台ものトライアンフツインがありました・・・。
デザート・スレッドとしてのトライアンフツインの愛好家は当時のアメリカに数多くいましたが、マックイーンもそんなライダーのひとりでした。
www.triumphmotorcycles.jpそんなコレクションのなかの1台である1938年型5Tスピードツイン・・・なんとその落札価格はエスティメート価格の2倍を超える$175,500 (約1,929万円)!!!!! 大スターの愛車、というプレミア性の高さゆえの高額落札なのでしょうが、フツーの5Tスピードツインにこの額を払う人は地球上にはもちろん皆無でしょう・・・。

鋳鉄製シリンダーヘッド&シリンダーは、最初期のトライアンフツインの特徴のひとつです。エンジンとギアボックスは別体で、点火装置はシリンダー背面のマグネトーを用いています。1950年代半ば以降の時代に、トロフィーやボンネビルなどの発展型モデルが登場。そしてトライアンフツインは世界中で、最も愛されたモーターサイクルのひとつになりました。
www.bonhams.comギターの世界では、エリック・クラプトンがちょっと弾いただけでそのギターのネダンが数千万円上がる!! という嘘か真か? なハナシがありますが、マックイーンのモーターサイクルってのも、それに近いハナシなのでしょう。やっぱり著名なスターのご威光ってのはスゴイな・・・とこのオークションリザルトから改めて思った次第です。