クリぼっちをなんとかやり過ごしたトーマスが、年末年始のお休み期間中に是非お読みいただきたい傑作漫画をご紹介します。それは、田中芳樹先生による日本の大河ファンタジー小説を、『銀の匙』『鋼の錬金術師』で知られる荒川弘先生がコミック化した『アルスラーン戦記』(講談社)でございます!

ストーリー

舞台は中世と思しき時代の、中東風の世界観で描かれる架空の国パルス。当代無敵とされる剛王アンドラゴラス三世に率いられるパルスだったのですが、狂信的な宗教国家ルシタニアとの決戦に敗れ、国土は蹂躙されてしまいます。
敵の捕虜となったアンドラゴラス三世の代わりにパルス復興と国土の奪還を目指して戦いの指揮をとることになったのは、若干14歳の王子アルスラーン!

武勇で鳴るアンドラゴラスの血を引いているとは思えないほど華奢で、優しげな風貌を持つ彼は、見た目同様に心優しく思いやりに溢れた少年。その彼を慕って多くの勇者たちが、アルスラーンの元に駆けつけます。

そんな頼りになる勇者たち、無双の勇士ダリューンや智将ナルサス、腕利きの旅の楽士ギーヴらの力を借りて、ルシタニアへの反攻を目論むアルスラーンたちですが、正統の国王の血筋を持ち王位継承権を主張する謎の銀仮面卿や、不可思議な魔術を使う魔道士らが暗躍し、事態は混沌としていくのです。

原作の方は2017年12月に大団円を迎え、全16巻で完了していますが、荒川先生のコミカライズ版は2018年12月時点で10巻まで刊行され、物語の佳境はまだまだこれから。
とはいえ、荒川先生の繊細かつ大胆な絵柄もあって、原作を凌がんばかりの面白さと波乱万丈の展開は、手に汗握るほどなのです!これは読まずにはいられないのです。

最高の勇者たちがアルスラーンのもとに集う理由とは

物語自体、田中芳樹先生ならではの実に緻密で計算し尽くされた構成ですから、面白くないわけがないのですが、とにかく登場人物一人一人にキャラが立っていて、最高なんです。

アルスラーンを守る勇者たちも、天下無双の剛勇ダリューン、剣の腕も一流の知恵者ナルサス、女たらしでいい加減だけど頼りになる楽士ギーヴ、精霊の声を聞くことができる絶世の美女 女神官ファランギースなど、とにかくユニークで興味深い人物ばかり。

そして、当然ですが、そんな勇士に仕えてもらえるだけあって、アルスラーンもまた 素晴らしい資質を持つ王子。

奴隷制度を持つパルスですが、そもそもあまり差別的な発想を持たないアルスラーンは、国家安泰のために奴隷解放を唱えるナルサスに共感して、自分が国王になったら奴隷制度を廃することを誓います。

そんな彼ですから、自分を支持して共に戦ってくれる部下たちとは、身分を超えて仲間、もしくは友人として接しようとします。振る舞いだけでなく、本気でそうするのです。

そんなアルスラーンですから、多くの勇者が彼を援け、命を賭けようと集うのです。

画像: 仲間の1人、ナルサスの従者エラムが落馬して敵に囲まれた!ピンチ!

仲間の1人、ナルサスの従者エラムが落馬して敵に囲まれた!ピンチ!

画像: するとためらうことなく踵を返してエラムを救いに向かうアルスラーン!

するとためらうことなく踵を返してエラムを救いに向かうアルスラーン!

画像: そんなアルスラーンの姿に、驚愕するギーヴ。

そんなアルスラーンの姿に、驚愕するギーヴ。

画像: 乱戦を脱し、敵を振り切ったとき、アルスラーンは我が身より仲間の身を案じます。 ナルサスを慕って、アルスラーン支援に加わった盗賊一族の娘アルフリードにも、アルスラーンは声をかけます。

乱戦を脱し、敵を振り切ったとき、アルスラーンは我が身より仲間の身を案じます。
ナルサスを慕って、アルスラーン支援に加わった盗賊一族の娘アルフリードにも、アルスラーンは声をかけます。

画像: 王子様が私みたいな下々のことを気にかけてくれるなんて。アルフリードは感銘を受けます。 「そういうお方なのだ」自分が褒められたかのように、ややドヤ顔するのは智将ナルサス。

王子様が私みたいな下々のことを気にかけてくれるなんて。アルフリードは感銘を受けます。
「そういうお方なのだ」自分が褒められたかのように、ややドヤ顔するのは智将ナルサス。

電子書籍版10巻まで刊行されてます

見所満載の本作ですが、現在電子書籍版が10巻まで出ています。まだまだ物語全体の30%くらいだと思いますが、とにかく面白いです。

是非、年末年始にイッキ読みして、トーマスに追いついてくださいませ!
損はさせませぬ!

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