長年勤めてきたテレビ局を辞め、自由な生活を求めてほぼ廃墟化したカフェを借りて住み着いた松ちゃん。テレビ局時代の仲間で元プロダクション社長の、リョウこと西山涼から二人で会社を立ち上げないかと誘われるが、それよりリョウが、密かに惚れてるクミちゃんの元旦那だという事実に苛立ちを隠せない・・・
Mr.Bike BGで大好評連載中の東本昌平先生作『雨はこれから』第38話「やわらかな陰影」より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集 by 楠雅彦@ロレンス編集部
Mr.Bike BGで大好評連載中の東本昌平先生作『雨はこれから』第38話「やわらかな陰影」より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集 by 楠雅彦@ロレンス編集部
ニンジャに乗る昔馴染みのリョウの誘いに乗る松ちゃん
もう業界には戻らない。はっきりそう言って断ったはずなのにリョウは案外しつこい。時をおかずにやってきては、私を仲間に引き込もうとする。
「テレビ屋じゃねーよ!」とリョウは言う。「コマーシャルだって言ってんだろォ!」
私にとってはどっちでも同じだ。戻る気はない。
すると、しばらく黙ったリョウは全然違うことを言い出した。
「なあ・・・クミに惚れてんだろ!?」
クミとは海辺でサーファー向けのカフェを営んでいる女性で、リョウの元妻だ。
海辺でサーファー向けのカフェを営むクミちゃん。
免許をとってHONDAのヨンフォアを乗り出したが・・・
私が黙っていると、リョウは薄く笑いながら言った。「どうよ、海に行こうぜ」
お前がいかねえなら一人で行くぜ?とでも言いたそうなリョウの挑発的な笑みに、私はうっかり乗ってしまい、ガレージからハーレーを取り出し、リョウのあとを追って走り出した。
別れても好きな人、か。
ほどなくして我々はクミちゃんの店に着いた。
「よう!、二人そろってどうしたの」クミちゃんは我々の胸中にあるモヤモヤを知ってか知らずか、無邪気な笑顔で迎えてくれた。
少し前までは取り立ての免許と買いたての愛車に夢中になっていたはずのクミちゃんだが、最近バイクにはほとんど乗っていないという。
なーんかもったいないなァ、とリョウが呟くのを聞きながら、私はリョウがまだクミちゃんのことが好きなのだろうと思った。
なぜ別れたのかは知らないが、やっぱりリョウはまだ未練があるんじゃないかな
あなたも、昔の彼女のこと、忘れられずにいたりしない??
受け付けは終了しました
松ちゃんの気持ちとリョウの決断とは?
続きは本誌でどうぞ。
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