年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ見るべき映画を紹介。
今回は、ホロコーストの研究に人生を捧げる2人の男女が紡ぎ出す物語『ブルーム・オブ・イエスタディ』。
今回は、ホロコーストの研究に人生を捧げる2人の男女が紡ぎ出す物語『ブルーム・オブ・イエスタディ』。
正反対の過去のトラウマを持つ2人の男女の運命的出会い
ナチスの戦犯を祖父に持つがゆえにホロコーストの研究に没頭するドイツ人学者のトト。ナチスの犠牲になったユダヤ人の祖母を持つがゆえにやはりホロコーストの研究に青春を捧げる、インターンのフランス人女性ザジ。
2人はその出自のためか、心に深いトラウマを持っており、非常に不安定な精神状態でエキセントリックな言動を繰り返す。そんな2人が、ホロコーストの悲惨な過去を経験者に語ってもらう”アウシュヴィッツ会議”の開催を目指して、ともに働くことになって・・・。
トラウマの原因って、なんだっけな?と時々首をかしげる展開だが・・・
トレーラーや予告では、本作は全く正反対の過去を持つ2人の男女の心の葛藤を描く恋愛映画であると同時に、ナチスというドイツにとって重すぎる負の歴史を、”気にしなければならないが気にしすぎてもいけない過去”として描き、若い世代に対して未来をみるように促すような、コメディタッチで描いた新しい”ナチス映画”の誕生、というような感じで紹介されていた。
しかし、実際にはナチスがもたらした過去による影響はあまり感じられず、変わり者の2人の男女の若干ヒステリックで風変わりな行動を追う作りになっていて、彼らのトラウマの引き金がナチスがらみである必要はないし、こじつけに見えてしまう。単純に心に傷を持つ2人の恋愛映画でよかったのでは?と首をかしげる展開になるのだ。
その意味では、若干羊頭狗肉的な感じになってしまっているが、実はそれが制作側の狙いなのかもしれない。つまり、どんな過去であろうと過去は過去、前を向きましょうという単純なメッセージをわかりやすくしようとした結果なのかもしれない。
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