年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ観るべき映画を紹介。今回の100分の1の映画は、インドに初めてオリンピック出場を果たしたレスリング選手姉妹を育てた、執念の男の半生を描いた『ダンガル きっと、つよくなる』。

実在の姉妹レスラーとその父親の話をベースにしたインド映画

天才的レスラーとしてインドの国際代表に上り詰めたものの、生活のためにオリンピック出場を諦めた男、マハヴィル。自分がダメでも息子ならと願い、子作りに励むが、生まれたのは4人連続して女の子。
さすがに夢を諦めたマハヴィルだったが、あるとき長女と次女が年上の男の子たちをケンカでボコボコにしたのを見て、彼女たちの中にレスラーとしての素質を見出す。その日から、マハヴィルは星一徹ばりの鬼コーチへと変身し、娘2人の特訓に乗り出した。

吉田沙保里とも対戦した実在のインド人レスラー、ギータとバビータ姉妹と彼女たちを育てた父親の半生を描いた大ヒットインド映画。

親と子の幸せな関係を描いたヒューマンドラマ

父親にしごかれる娘たちは、自分たちに夢を押し付けるような父親なんていらない、と友人にこぼす。しかしその友人は「私はあんな父親がほしい」という。自分の父親は、掃除と料理を押し付けて、14才になったら会ったこともない男に嫁に出す、と嘆くのだ。
(このあたり、現在はともかくかつての男尊女卑が当たり前であったインドの生活事情がみえて心が痛む)

その言葉を聞いて以来、彼女たちは自ら率先してレスリングの修行に精を出し始め、そして頭角を示し始める。

本作は父と娘の"リアルガチ"スポ根ストーリーであるが、親が子供に夢を託すことの身勝手さはあるにせよ、子供たちもその期待に応えることが自らの人生を切り開くことだと理解して取り組む、親と子の幸せな関係を描いたヒューマンドラマだ。

人生は戦いだ。負けることに慣れたはずの(かつての)インド人女性が、勝つことへの渇望と挑戦することの価値を見出す。実に素晴らしい映画である。

画像: 「ダンガル きっと、つよくなる」コメント付き本予告 youtu.be

「ダンガル きっと、つよくなる」コメント付き本予告

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